最近多い?ピアニストの故障:来日ピアニスト・チェック

10月も半ばを過ぎると急に年末が近づいたような気がする。来年のカレンダーや手帳も並び始めるし、おせちの注文なども始まるし…。

ということで「ピアノカレンダー」を更新することにしたのだが、なんだか今年はピアニストの故障が目立つような気がする。次々と記事が出るので、ラン・ランの腱鞘炎はすっかり有名?になってしまったが、そのほかにも「公演中止」「公演延期」「代役ピアニスト」などの言葉がチラホラ…。

【関連記事】
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《ラン・ラン、来日中止!大丈夫なのか?》
《ラン・ランvsマルカンドレ・アムラン?》


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🎼ケイト・リウ


お気に入りピアニストの一人、ケイト・リウが「肩から腕にかけての激しい傷みのため、担当医師から演奏活動を控えるように」ということで11月の来日(日本ツアー6公演など)がキャンセルになっている。

✏️【演奏会中止のお知らせ】ケイト・リウ(ピアノ)

なかには「現時点では2018年3月までの世界中全ての公演が中止」と書いてある記事もあるので、ちょっと心配だ。

ケイト・リウは2015年ショパンコンクールで3位に入賞したが、個人的には1位なんじゃないか?と思っているピアニスト(→《ショパンコンクールの採点表、面白い♪》)。一度、生で聴きたいと思っている一人だ。

ほとんどが「公演中止」になっているが、横浜みなとみらいホール主催公演では、エフゲニ・ボジャノフ(1984年ブルガリア生まれ、2010年のショパンコンクールで4位入賞)が代役として出演することになっている。曲目は若干変わるようだ。

✏️【一部出演者変更(ケイト・リウ)】11月5日(土)、6日(日) 第35回横浜市招待国際ピアノ演奏会


🎼ティル・フェルナー


もう一人、お気に入りピアニストのティル・フェルナーさんが来日予定キャンセルになっている。理由は「右手の不調」ということだが、本人のメッセージの中に「一時的なもの」とあるので、それほどひどくはないのかも知れない。

✏️「ティル・フェルナー」公演中止のお知らせ
✏️ティル・フェルナー、来日キャンセルのお知らせ

12月から「シューベルト・ツィクルス」を始める予定になっていたが、このままいくと来年7月が初回となる…のかな? 下記、KAJIMOTOの記事にあった本人メッセージの抜粋。

「ここしばらく右手に不調を抱えており、この先の演奏活動を減らして回復に努めます。医師からは一時的なものとの診断を受けておりますので、できるだけ早く治し、来年の7月にはツィクルス2つ目のプログラムで、皆さまにシューベルトの美しい音楽をお届けすることを心から楽しみにしております。しばらくお時間をくださいますよう。」


🎼ジャン=クロード・ペヌティエ


まだ聴いたことはないが、ラフォルジュルネなどで名前は何度も目にしているピアニスト。ペヌティエ氏の場合は手の故障ではなく「ヨーロッパ・ツアー中の怪我」が理由のようだ。「年内の演奏会をすべてキャンセル」とある。

✏️「ジャン=クロード・ペヌティエ」公演延期のお知らせ

彼の場合は「中止」ではなく、プログラム内容もそのままで「延期」となっている。

ソロ・リサイタル
 10月29日→ 2018年5月8日
デュオ:盟友 レジス・パスキエとともに
 10月31日→ 2018年5月11日


🎼頼むよ!アンデルシェフスキ ♪


今年2月に来年3月のリサイタルのチケットを買った。それが、ピョートル・アンデルシェフスキ。彼はいまのところ大丈夫なようだが、3月の来日までに怪我などないように祈る思いだ。

《衝動買い?2018年のアンデルシェフスキ ♪》

というのも、これまでに2回も「公演中止」「ピアニスト交替」という目に遭っているのだ…(^^;)。数えるほどしか行っていないコンサートのうち2回は結構な確率だ。

しかも最初から!「最初」というのはピアノを趣味で始めた2013年の年初のこと、「超」がつくくらい久しぶりに買ったチケットがキャンセルに!しかも、ブレハッチ(↓)!!

✏️【日本公演中止】 ラファウ・ブレハッチ ピアノ・リサイタル

このブログはまだ始めてなかった(最初の記事は2013年3月19日《実験開始》)ので記事にはしてないが、相当なショック、いまだに残念な思い出だ…。

その次は、2014年のラフォルジュルネ。《ラフォルジュルネ:初登場ピアニスト3人》期待の若手ピアニストの一人、ヨーゼフ・モーグ。

《なんと!ヨーゼフ・モーグ氏、来日中止!!》

このときは、代役がアンヌ・ケフェレックさんで、これは今思うとラッキーだったのかも知れない。

《アンヌ・ケフェレックさんのラヴェルに感激!》


…ということで、アンデルシェフスキさん、どうか怪我などされませんように…(^^)♪







ピアニストが解説する「ピアノの名曲:聴きどころ弾きどころ」♪

イリーナ・メジューエワさんの『ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ』(2017年9月刊)という本を読みおえた。感想の一部は《いいピアノ演奏の「いい」の中身♪?》に書いた。




10人の作曲家の代表的ピアノ曲(↓)について、ポイントになる部分を楽譜で示しながら、その解釈や弾き方などをピアニストの立場から書いてある。

バッハ:平均律クラヴィア曲集、ゴルトベルク変奏曲
モーツァルト:ピアノソナタ第11番「トルコ行進曲付き」
ベートーヴェン:ピアノソナタ第14番「月光」、ピアノソナタ第32番
シューベルト:「四つの即興曲」より第3番、ピアノソナタ第21番
シューマン:「子どもの情景」より〈トロイメライ〉、クライスレリアーナ
ショパン:「練習曲集 作品10」より〈別れの曲〉
リスト:「ラ・カンパネラ」、ピアノソナタ ロ短調
ムソルグスキー:「展覧会の絵」
ドビュッシー:「ベルガマスク組曲」より〈月の光〉
ラヴェル:「夜のガスパール」


語り口はやさしいのだが、私のような素人ピアノ・ファンにはやや難しい内容(とくに楽譜の技術的解釈など…)である。普通にこういう曲を弾ける(練習できる)人にとっては、とてもいい本なのではないかと思う(たぶん)。以下、私なりの読書メモ(やや長文)。


🎼バッハ、モーツァルトは革命家?


バッハとモーツァルトについて、彼らは「しっかり伝統を勉強して、それをとんでもないものにする保守的な革命家」であると書いてある。

これを読みながら思ったのは、これまでの音楽の伝統をしっかり受け継ぎながらも「とんでもないもの」を生み出すようなすごい作曲家が、現代にもいるといいなぁ…ということ。

でも、そういう作曲家がいたとしても現代人がそれを理解して、素晴らしいと思えるかどうかは分からないが。「現代のバッハ」は未来の人にしか発見できないのかもしれない…。


🎼ベートーヴェンのピアノソナタ


ベートーヴェンのソナタ全曲演奏をやるピアニストはけっこういるが、全曲演奏は「山登りに近い世界」だそうで「実際に登ってみて初めて見えてくるものがある」らしい。そうかもしれないが、私にはできない、麓から見上げているしかない…(^^;)。

ベートーヴェンのソナタの特徴として、弦楽四重奏的な発想(4声部)で書かれていることが多く、それを理解することが大事だと書かれている。

また晩年になると、耳が聞こえないことによるのかもしれないが、その「声部が離れていく感じが強くなる」「右手がより高音域へ、左手がより低音域へ」という傾向があるそうだ。

それは「ベートーヴェンの頭の中で鳴っていたイマジナリー・ピアノとしての可能な響きをすべて表現」しようとして「楽器を超えて理想を目指している」結果なのだろう、と。

メジューエワさんは、第32番ソナタのアファナシエフの演奏を高く評価していて、「我々には聞こえないような音、響きを探して迷っているという、そのプロセスがそのまま演奏になった」と言っている。「響きを探すプロセス」というのが面白い。


🎼シューベルト作品を弾く難しさ


シューベルト作品は、リスト弾きのピアニストにとっては難しいらしい。

シューベルトの音楽には「インティメートの雰囲気」が必要で「音の中の静けさをつくる、聴く」ことができなければ弾けない。「いい瞬間、いい音色、いい静けさ」をどうやって作り出すか…。それには「ヴィルトゥオーゾの指ががんがん動くのとは違う難しさ」がある。

さらに「声部間のバランス」をとる難しさがある。「本当のピアニッシモでメロディを弾くと、内声の伴奏がさらに難しくなる」「とても細かい名人芸。集中力、聴く能力、手・指先のタッチとバランスの繊細さ」が必要となる。

個人的にはリストよりシューベルトが好きだが、「ピアニッシモでメロディを弾く」、しかも小指で、というのはなかなか難しい。ましてや「声部間のバランス」となるともうお手上げだ…(^^;)。


🎼シューマンは玄人(ピアニスト)好み?


「トロイメライ」のところで書かれていた「音楽における詩は音そのもの」という話はとても気に入った。

詩というのは言葉を削って作り出す…(その)言葉そのものが詩…他の言葉では内容を伝えられない

同じように、音楽における詩は
音そのもの、一つ一つの和音そのもの、フレーズ、静かさのかげん」。


それから、「クライスレリアーナ」のところに書いてあった「ピアノを弾いている人間にはたまらない」という話も面白いのだが、それって音楽としてどうよ?という気もする。

シェーンベルクや20世紀の前半の作品についてよく言われることですけれども、楽譜を見る見ないでは音楽を楽しめる度合いが大きく変わる。ある意味でシューマンも同じですね。頭で作っている部分が強いんです

スタッカートのあるなしなど楽譜での細かい指示でポリフォニー感が増えたりする…「そういうところが、ピアノを弾いている人間にはたまらない」のだが「その細かさを聴き手に伝えるのは難しい」のだそうだ…。

それって、楽譜を熟知していて自分で弾いているピアニストの方が、その演奏を聴いている人より、シューマンの音楽をより楽しめる、満足度が高い、ってこと?

たしかに、自分が練習した曲の方が、聴いていてもよく分かるような気がするので、そうかも知れないのだが…。ピアノの演奏では、聴衆に何を伝えるか?が大事だったのでは…?


🎼ショパン「別れの曲」は難しい?


ショパンの「エチュード作品10」が音大の試験等で課題曲となる場合、第3曲「別れの曲」と第6曲とが除外されることが多いそうだが、実は「別れの曲」というのはけっこう難しくて、ピアニストの実力がよく分かる曲らしい。

私も、「別れの曲」なら頑張れば弾けるかも…と思っていたので、エチュードに入っているのに何となく違和感を持っていたのだが…。

この曲は、レガートで歌う、ポリフォニーをちゃんと弾き分ける、ルバートを正しく表現する、などいくつかの課題を盛り込んだ練習曲になっていて、「音楽の基本的なことはこのエチュード1曲を聴けばわかる」ほどの曲らしい。

また、メジューエワさんは「エチュード作品10」全曲を通して弾くときに「別れの曲」をどう弾くかという難しさもあるという。アンコールとかで弾く方が弾きやすいらしい…。聴き手の期待値(あのよく知っている曲)と「作品10」の中の位置づけというのが微妙に異なるのだろう。

ショパンの言葉として、「一つの音にグラデーションをつけて練習しなさい」という言葉が紹介されていて、フォルテやピアノ、嬉しく・悲しくなど20種類以上の練習をするように言っているそうだ。

この曲でも、意識的に表現の幅を広げることが必要なのかも知れない。「別れの曲」は表現力のためのエチュードとも言えるのかも…。


🎼リスト、ムソルグスキー


リストについては、個人的にそれほど興味がないので割愛。リストの作品は必要以上にポーズが多すぎるとか、「エフェクトが多すぎる」というショパンの意見には共感…(^^;)。

ただ、ロ短調ソナタについては「リストの全てが詰まっている」作品という評価で、詳しく説明してあるので参考になるかも…。


ムソルグスキーも「展覧会の絵」はわりと好きな曲ではあるが、他はほとんど知らない。

メジューエワさんの評価は、「(ロシアの作曲家の中でも)ムソルグスキーだけは、ちょっとカテゴライズできないような特別な存在」「とくに『展覧会の絵』は…別格…桁外れにすごい作品」ということだ。


🎼ドビュッシー、ラヴェル


ドビュッシーについては、「音そのものの響きをつくって楽しむ世界」であり、「音色で詩的なものを引き出す」ことが大事ということが書いてある。

ただし、「静かで詩的な雰囲気を出して…と思うと…ソフトフォーカスの方向へ」行きがちだが、そうではなく、フランス物については「常にクリアな音色やリズムが必要」ということだが、私も聴き手の一人としてクリアな演奏の方が好きだ。


ラヴェルでは「夜のガスパール」がとりあげられている。この曲は、ラヴェルがバラキレフの「イスラメイ」を超える難曲を書きたくて作った曲であるらしく、相当に難しい曲だとのこと。自分で弾く可能性ゼロの「鑑賞曲」としてしか聴いていないと、難易度まではよく分からない…(^^;)。

形式でいうと「全体として3楽章からなるソナタのような形」だそうで、そういう(ソナタのような曲としての)聴き方をしたことがないので、ちょっと新鮮な感じを受けた。

たとえば「オンディーヌ」には「主題が2つあって、展開部、再現部にあたる部分もある」らしいのだ。「絞首台」は緩徐楽章に当たる。

さらに、「ある音楽学者の説によると、この曲(「絞首台」)を弾くにためには27種類の音色が必要」とか…。27種類の中身を知りたいものだが、どうやって数えたのだろう…?


🎼全体の感想


まず思ったのは、自分が練習する曲について、こういう風に細かく、イメージ豊かに解説してくれたらどんなにかありがたいことだろう、ということ。解釈やイメージ的なこと、技術的なポイント、難しさの具体的な内容など…。

そして、プロのピアニストが曲を仕上げるためにどんなことを考えどんなところに苦心し、どんな風に弾こうとしているのか、などといったことが何となく分かって面白かった。

さらに、その内容が多岐にわたり、しかも奥深いことが感じられて、一つのピアノ曲を作曲家がイメージしたような音楽として音にする(演奏する)には、こんなにもたくさんのことを考え、実施しなければならないのか…とも思った。

なので、演奏を聴いて直感的に「いいなぁ ♪」とか「面白くないなぁ…」と感じている、その違いは、このようなたくさんのことをちゃんとできているかどうか、ということからきているのかも知れないなどと想像してしまった。

「一つの曲をピアノで弾く」という中にどれほど多くのものが入っていることか…(^^)!♪


🎼イリーナ・メジューエワ


イリーナ・メジューエワ(Irina Mejoueva、ロシア、1975〜)という名前を知ったのは、たぶんニコライ・メトネルという作曲家を初めて聞いたのとほぼ同時だったと思う。なので、私の中ではメトネル弾きのピアニストというイメージ。

50人の海外ピアニストを探索したとき(《聴いてみたいピアニスト50人:「ピアニストの系譜」から》)にも、その一人としてチェックしていて「お気に入りピアニスト」の候補にはなっている(↓)。

〈イリーナ・メジューエワ:A-(Pianist Check)〉

ちなみに今年は日本デビュー20周年だそうで、記念リサイタルが行われている。2回目が11月の「ショパン」、3回目が来年2月の「リスト・ラフマニノフ・メトネル」(↓)。


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高松国際ピアノコンクール、過去最多の申込者 ♪

こんなタイトル(↓)の記事があったので何かと思ってみたら、高松国際ピアノコンクールの出場申込者が過去最多の332人になったというニュースだった。

✏️海外から多数「評価高まった」ピアノコンクール

組織委員会は「ネットでの受け付けを始めたことに加え、前回優勝者がその後、複数の国際コンクールで活躍するなどし、評価が高まった」と、増加の理由を説明している。

前回(第3回)優勝者は韓国のムン・ジョン。高松国際で優勝した翌年の2015年にブゾーニ国際ピアノコンクールでアジア人初の1位になっている。

同じ年のショパン国際ピアノコンクールにも出場していて、注目されてはいたが1次予選で姿を消している。当時チェックしたときは、チョ・ソンジンよりもムン・ジョンの方が私の好みだったようだ。

《ショパン・コンクール注目ピアニスト:韓国》
《ショパンコンクール:日本人5人が1次予選通過 ♪》

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第4回高松国際ピアノコンクールの公式サイト( ↓ 写真のピアニストがムン・ジョン)を見ると、10月12日に応募状況(最終結果)が発表されている。

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✏️第4回高松国際ピアノコンクール 応募状況報告

今年からネット申し込みを始めており、増加の理由はこちらの方が大きいような気もする。68%がネットから申し込んだとのこと。この「332人、32の国・地域」という数字は、例えば2015年の浜松国際ピアノコンクールの「449人、42の国・地域」(↓)と比べるとやや少ないが、でも頑張っているということだろう。

《浜松国際ピアノコンクール:プレゼン資料が分かりやすい》

それと、優勝賞金が200万円から300万円に増額された(↓)ことも効いているのかもしれない…(^^;)。

《もう2018年高松国際ピアノコンクールの募集が…》

上の「応募状況報告」には統計的な数字のPDFが付いていて、見ているとなかなか面白い。

例えば国別参加者数は、日本の152人を除くと韓国が51人とダントツ。中国の26人、ロシアの21人と続く。韓国は第1回が6人、第2回が10人、第3回が12人なのですごい伸びだ。

日本人152人のうち52人は海外で修行中。国としてはドイツが22人で圧倒的に多い。続いてフランスとオーストリアが8人ずつ。ロシアとアメリカが4人ずつ。

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このあと、予備審査で40人程度に(前回と同じであれば)絞られ、来年春のコンクール本番(↓)に出場ということになる。

第1次審査:2018年 3月14日~16日
第2次審査:2018年 3月17日~18日
第3次審査:2018年 3月20日~21日
本選:2018年 3月24日


来年2018年はいくつかのコンクールが予定されているので、それなりに楽しめそうだ。

3月 高松国際ピアノコンクール
8月 ホーネンス国際ピアノコンクール(カナダ)
9月 リーズ国際ピアノコンクール
11月 浜松国際ピアノコンクール

とくにリーズ国際ピアノコンクールは、ポール・ルイスが新しい芸術監督に就任し「新装開店」となる(↓)ので楽しみだ。浜松国際も、小川典子新審査委員長に替わったのでちょっと興味はある。

《リーズ国際ピアノコンクール、復活なるか?ー新ヴィジョン発表!》
《小川典子'新'審査委員長の意気込み:浜松国際ピアノコンクール》

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おまけ。2015年のリーズ国際ピアノコンクール優勝した Anna Tcybuleva(アンナ・ツィブレヴァ)さんも、2014年の高松国際ピアノコンクールで4位になった人だったみたいだ。

《リーズ国際コンクール優勝はロシアのAnna Tcybuleva》







現代のピアノソナタ(2)ジュリアン・コクラン

「現代のピアノソナタ」探索シリーズ(になるといいな?)第2弾は、オーストラリア(イギリス生まれ)の作曲家、ジュリアン・コクラン。

《コクラン国際ピアノコンクール:完全オンライン・年齢制限なし》でも少し紹介したが、ジュリアン・コクラン(Julian Cochran)は1974年生まれの作曲家。数学者でもあるらしい。コクラン国際ピアノコンクールのサイトに簡単なプロフィールが載っている。

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それによると、作風は「ロマンティシズムの美学と20世紀初めのスタイルを織り交ぜたもの」とある。また「その独創的な音楽言語はリスト、ショパン、バラキレフ、プロコフィエフ、ラヴェルのピアニスティックな伝統を引き継ぐものである」とも書いてある。…のだが、ずいぶん幅広いので正直なところよく分からない。

また「初期作品は印象派の影響、後期作品は東欧のクラシックや民謡の影響」を受けているという説明が、英語のWikipedia に書いてあるが、こちらの方が分かりやすいかも…。

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上のプロフィールページには、コクランのピアノ作品の一覧表と楽譜サンプル(PDF→作品の半分くらい)、いくつかの音源が掲載されている。

ピアノ作品は次の通り。ピアノソナタは2つあるが、ネットに音源があったのは1番のみ。

Animation Suite No. 1 〜 5
Fantasy
Fire Dance
Maelstrom
Mazurka No. 1 〜 5
Piano Sonata No. 1
Piano Sonata No. 2
Prelude No. 1 〜 10
Romanian Dance No. 1 〜 6
Russian Song
Russian Toccata
Scherzo No. 1 〜 4
Skazka
Valse No. 1 〜 2


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ピアノソナタ第1番は3つの楽章からなる短い(約10分)作品。カッコ内は演奏時間。

Julian Cochran - Piano Sonata No. 1 I. Con gran espressione(3:35)
Julian Cochran - Piano Sonata No. 1 II. Largo - Moderato(1:58)
Julian Cochran - Piano Sonata No. 1 III. Presto(4:18)

この音源は、コクラン国際ピアノコンクールで入賞した高橋絵里子さんによるもの。

最初聴いたときは、やや派手な第3楽章以外、それほど印象に残らなかったのだが、何度か聴いているうちに第1楽章もなかなか味わい深いような気がしてきた。静けさの中から立ち上がる、階段状のアルペジオ風な雰囲気はいい感じだ。

第2楽章は今ひとつつかめないうちに終わってしまう…(^^;)。第3楽章の面白いリズムが気に入ったのだが、楽譜を見ると4分の6・7・8が入り混じっている。中間部の Andante もきれいだ。

参考までに、各楽章の冒頭部分の楽譜を載せておく(↓)。

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今回ちょっと思ったのは、現代音楽というのは一回聴いたくらいではなかなかその良さが分からないのではないか?ということ。もしかすると、現代音楽に限ったことではなく、初めて聴く曲は同じなのかもしれないが…。

おまけ。下記の小品もそれぞれに良さがあると思う。それほど難しくない曲もありそうなので、発表会などで使われてもいいのかもしれない。

Julian Cochran - Rumanian Dance No. 4
JULIAN COCHRAN - Prelude No. 8
Julian Cochran PRELUDE NO. 2


【関連記事】
《現代ピアノ音楽作曲家探索:コンテンポラリなピアノソナタ ♪》
《現代のピアノソナタ(1)ニコラ・バクリ》
〈Contemporary ピアノ音楽作曲家:list〉







いいピアノ演奏の「いい」の中身♪?

『ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ』(↓)という、最近出たイリーナ・メジューエワさんの本を読んでいる。



いろんなピアノ曲の、ポイントになる部分を楽譜で示しながら、その解釈や弾き方などをピアニストの立場から書いてあるので、私のような素人ピアノ音楽ファンにはやや難しい(読みやすく書いてはあるが…)のだが、読みながらちょっと感じたことがある。

それは、私の「音楽(演奏)の良さ」を表現する語彙があまりに貧弱だな〜ということ。ほとんどが「いい」「面白い」「素晴らしい」あたりで済ませているような気がする…(^^;)。

「いい演奏」を探索していたり、「いい演奏とそうでない演奏の違いは?」などということを考えたりしている割には、「いい」の中身をこれまであまり説明できていない…。

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この本では、それぞれの曲について「おすすめの演奏」をいくつかあげてあるのだが、その紹介文に使われている表現をパラパラと拾い上げてみると…。

「知的で説得力のある、示唆に富んだ」
「真摯さ、温かさが音の中に」
「響きを探している感じがとてもリアル」
「音の中に静けさがあって、内面的な雰囲気」
「ハーモニーがきれいな形の中に生きています」
「深さ、まろやかさ、輝かしさなど、音がすごい」
「インティメートで軽やかな」


…他にもたくさんあるのだが、こういう言い方、私にはできそうもない。感性が「雑」なんだろうか…(^^;)?

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試しに、ちょっとした「思考実験」をやってみた。「いい」「面白い」を英語で言うとどうなるのか?思いつく単語を並べてみた。で、それに私なりの日本語訳をつけてみた。

いい
 ↓
good:良い
nice:素敵な
comfortable:心地よい
pleasing:愉快な
beautiful:美しい
great:素晴らしい
moved:感動した

面白い
 ↓
interesting:興味深い
enjoyable:楽しい
new:これまでにない
attractive:惹かれる
exciting:刺激的な

…ん〜、表現が深まった感じはあまりしないな〜。やはり、メジューエワさんみたいにもう少し具体的に、文章にする必要があるのだろうか? 一つの形容詞だけでなく…。

でも頑張れば、「いい」と言う代わりに、例えば「聴いていて心地よい、とくにハーモニーの絶妙な移り変わりがいい」などと少し具体的に言うことはできるかも知れない。

ただ、聴いているときの正直な感覚は「コレいい!」なんだよなぁ…(^^;)。

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音楽を聴いたときに感じたことやその良さを、人に「言葉」で伝えるのは本当に難しいと思う。そもそも、音楽というのは言葉で表せない何かを「音楽言語」と「音(音響)」で表現するものなのだから。

音楽の良さを表す言葉を集めたようなサイトがないか、探してみたが見つからなかった。その代わり?、ヴィクトル・ユーゴーの言葉(↓)を知ることができた。言葉の専門家である詩人が言うのだから、やはり言葉で説明するのは難しいんだ…。

"Music expresses that which cannot be put into words and that which cannot remain silent."
(音楽は、人が言葉で言い表せないこと、しかも黙ってはいられない事柄を表現するものである。)


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まぁ、でももう少し「いい」の中身を表現する努力はしてみようかと思った。自分の貧弱な言語能力の範囲で…。

なお、『ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ』についての感想文(読書メモ)は、読み終わってから書くつもり。難しいながら、いろいろと参考になるところもあったので…。