ババジャニアン、ちょっと面白い:アルメニアの作曲家・ピアニスト

《2017年秋冬の来日ピアニストのリサイタルを眺めて…》にちょっと書いた、シャルル・リシャール=アムランがリサイタルでとりあげるババジャニアンという作曲家についてざっと調べてみた&聴いてみた。ちょっと面白い ♪


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Wikipedia PTNA を簡単に要約すると…。

アルノ・ババジャニアン(Arno Babadzhanian、1921年1月22日 - 1983年11月11日)は、アルメニアの作曲家でピアニスト。民族的色彩の強い作品を残している。ハチャトゥリアンの強い民族性を持つ音楽やラフマニノフのロマンティシズムとヴィルトーゾ的な音楽に憧れを抱いていて、それらを融合させた作品をつくろうと試みた。その代表的な作品がピアノと管弦楽のための《英雄のバラード》である。この作品でスターリン賞と労働赤旗勲章を受章。後に、半音階や、十二音技法をとりいれ、1965年にピアノのための《6つの描写》などを作曲した。アルメニアの切手にもなっている。

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PTNA に載っているピアノ作品は多くはない。コンチェルトを入れて4曲(↓)。

英雄のバラード [1951年] (ピアノ協奏曲)
Armen Babakhanian Arno Babadjanian Heroic Ballade
→部分的にはちょっと「いいな〜」というのも感じるが…。

ポリフォニック・ソナタ/ Polyphonic Sonata [1946年]
Babadjanian - Polyphonic Sonata
→前奏曲、フーガ、トッカータの3曲からなる。トッカータは超絶技巧的、面白い。

6つの描写/ Six Pictures [1965年]
Arno Babadjanian: Six Pictures performed by Hayk Melikyan
→個人的感想だが、ほどよい「現代音楽」感がいいかも知れない。

詩曲/ Poem [1966年]
Jie Chen - Babajanian, Poem for Piano
→チャイコフスキーコンクール(1966年第3回)のために作られた課題曲。いい感じ。

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シャルル・リシャール=アムランが来年1月のリサイタルでとりあげる曲は、上記の作品とはまったく違っていて小品が多い。
《ピアノカレンダー2018年:来日ピアニスト,コンクールなど》

エレジー(アラム・ハチャトゥリャンの想い出)
Arno Babajanyan elegia (Arno Babajanyan elegy, plays Babajanyan)
→いかにも「エレジー」的な旋律が繰り返される。ベタだがいい感じ。

前奏曲 – ヴァガルシャパト舞曲
Arno Babajanyan-Prelude and Vagharshapat Dance
→感想「普通」。

即興曲 「エクスプロンプト」
Arno Babajanyan Expromt
→民族的メロディーが好きかも。

カプリッチョ
MISHA DACIC PLAYS ARNO BABAJANIAN CAPRICCIO
→異国情緒を感じさせる旋律が面白い。2017年4月のマイアミ国際ピアノフェスティバルでの Misha Dacic というピアニストの演奏。

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ちなみに、『アルノ・ババジャニアン:ピアノ独奏のための作品全集』というCD(ピアノ:Hayk Melikyan)が出ていて、これには10作品(↓)が収められている。


【収録曲】
Polyphonic Sonata (1942-47)
Six Pictures (1965)
Melody and Humoresque (1973)
Elegy (1978)
Reflection (1973)
Prelude (1947)
Vagharshapat dance (1947)
Impromptu, “Exprompt” (1936)
Capriccio (1951)
Poem (1966)


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ひと通り聴いた感想としては、なかなか面白い作品もあって、ときどき聴いてもいいかな?と思った。作品数は少ないが、民族的・ロマン派的な「エレジー」から現代音楽的な「6つの描写」まで色々楽しめる。

最後に「公演情報」からシャルル・リシャール=アムランの言葉をご紹介。

ショパンと同様に、作曲家兼ピアニスト、A.ババジャニアンの作品には彼の自国への愛情が満ち溢れています。ロシアの後期ロマン派ピアニズムに分類されているババジャニアンの音楽は、アルメニアの民族音楽、特にそのリズムに強く影響されています。「エレジー」、「前奏曲」と「即興曲」は詩的でかつ哀愁的、そして「ヴァガルシャパト舞曲」と「カプリッチョ」はとても刺激的で技巧的な作品です。彼の音楽はとても深く、感情豊かな作品なのになぜもっと演奏されないのかを不思議に思っています。







ラビノヴィチ、興味深い♪ミニマル音楽元祖の一人、アルゲリッチとのデュオ…

《2017年秋冬の来日ピアニストのリサイタルを眺めて…》の記事にちょっと書いたラビノヴィチについて調べてみたら、なかなか興味深い音楽家だった。


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アレクサンドル・ラビノヴィチ=バラコフスキー(Alexandre Rabinovitch-Barakovsky)は、1945年3月30日ロシア(ソ連)生まれ、スイス在住の作曲家・指揮者・ピアニスト。紹介文として分かりやすいのは、これ(↓)かも知れない。…と言いながら、私はアルゲリッチとのデュオは「知らぬ人」だったのだが…(^^;)。

「アレクサンドル・ラビノヴィチ=バラコフスキーと聞いてあまりピンとこなくても、かつてアルゲリッチとのピアノ・デュオで数々の名盤を世に出したあのラビノヴィチといえば、知らぬ人はいないでしょう。彼の本業は作曲家で、旧ソ連のミニマル・ミュージックの元祖と目されています」

これは、『アレクサンドル・ラビノヴィチ=バラコフスキー作品集』という、彼の代表作を4枚にまとめたCD(↓)の解説にあったもの。



そのほか、ファン・サイト(RABINOVITCH-BARAKOVSKY FAN SITE)というのがあって、その "THE COMPOSER" というページに詳しい紹介文(英文)がある。

そこには、作風として "Minimalist", "neo-romantic", "neo-tonal", "repetitive" や "spirituality and compassion" といった言葉が並んでいる。とくにミニマリズムの世界では草分け的存在らしく、“La Belle musique n.3” (1977) というのがオーケストラでミニマルをやった最初の作品とのこと。

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ファン・サイトの "SELECTED WORKS" に主な作品が載っているが、ソロ・ピアノ曲は、2009年の "3 Manas for amplified piano or amplified electric piano" くらいしか見当たらない。

ピアノを使った曲(室内楽や2台ピアノの協奏曲など)はあるが、特徴的なのは、ピアノがすべて "amplified piano" となっていること。チェロやフルートなど他の楽器も、ほとんど "amplified" だ。

"amplified piano" というのは、マイクを使って音を増幅しスピーカーで鳴らすわけだが、そもそも音量のあるピアノなどの場合は「増幅」というより、音質・音響の変化を狙っているものと考えられるようだ。

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ピアノ作品を聴いてみた。まずは前回もご紹介した「悲しみの音楽、時に悲劇的な」という曲をもう一度聴いた。

Alexandre Rabinovitch-Barakovsky - Musique triste, parfois tragique (1976)

出だしはわりといい感じだが、その後はいま一つまとまり感がなく、ミニマル的ないろんなフレーズが次々に出てくるだけ?という印象。和音連打とアルペジオ的な部分が印象に残るが、アルペジオ的な部分は個人的には好きだ。


次に "Mana" を HJ Lim が演奏している動画を聴いてみたが、なんだか妙な舞台だ。ピアノの前に瞑想?しているお坊さんがじっと座っている。曲は、無窮動(常動曲?)というのか、心地よい音響の流れがたえず変化しながら続いていく。これはなかなかいい。

Rabinovitch-Barakovsky, Mana - HJ Lim

動画の最初に表示される解説を読むと、"Mana" というのは、マオリ、メラネシア、ポリネシアなどの文化でカリスマ性のある人物から出る "psychic energy"(精神力?)の強力な流れを指す言葉らしい。

…で、「お坊さん」の謎は次の関連動画でとけた。上の "Mana" は、2015年7月27日に行われた「ダブリン国際ピアノフェスティバル」でのコンサート(↓)の一部(最後の曲)だったようだ。

HJ Lim and Venerable Seongdam, Live in Dublin - Full concert -

これは1時間半ほどあるのであとで聴くとして…、お坊さんは Seongdam という名前の高僧らしく、最初に木魚を使いながら歌のようなお祈り?をしたり…という「共演者」だったのだ。ちなみに他のピアノ曲としては、プロコフィエフとシューベルトとスクリャービンのソナタが入っている。

もう一つ、ラビノヴィチ本人の演奏(↓)もあった。 "amplified piano" のようだ。

Alexandre (A.)Rabinovitch-Barakovsky - Three Manas

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次に、アルゲリッチとのデュオ(ピアニストとしてのラビノヴィチ)を聴いてみた。

最初に聴いたのは、モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448」の第2楽章。初めて聴く(たぶん)曲だが、曲自体も演奏も実に優しい感じで素晴らしい。弟子と一緒に弾くために作曲された、「モーツァルトを聴くと頭が良くなる」効果の検証に使われた、などの説明が納得できる。

Martha Argerich & Alexandre Rabinovitch, Sonate pour deux pianos en ré majeur K.448 - 2

なお、全曲を聴きたい方は♪アルゲリッチとバレンボイムのデュオでどうぞ。


それから、ラヴェル「ラ・ヴァルス」の2台ピアノ版。これも実にいい感じの演奏だ。

Ravel - La Valse (two pianos by Argerich and Rabinovitch)

この二人のデュオは、この「ラ・ヴァルス」でさえどこか優しさを感じる。アルゲリッチの気性を考えると、これはラビノヴィチの性格から来ているのかも…(^^;)?

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このデュオの出した「数々の名盤」が気になったので、活動期間などを調べてみた。

"MARTHA ARGERICH RECORDINGS" というアルゲリッチの録音を整理したサイトで見ると、一番古いのが 1987年10月25日(ジュネーヴ live)の「ラヴェル マ・メール・ロア」で、一番新しいのが 2005年3月5日(コペンハーゲン live)のブラームスとラフマニノフ(↓)となっている。少なくとも18年間は組んでいたことになる。

ブラームス:2台のピアノのためのソナタ ヘ短調 Op.34b (Piano 1: ラビノヴィチ)
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 Op.56b (Piano 2: ラビノヴィチ)
ラフマニノフ:組曲第1番 Op.5「幻想的絵画」 (Piano 1: ラビノヴィチ)
ラフマニノフ:組曲第2番 Op.17(2台のピアノのための) (Piano 2: ラビノヴィチ)


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おまけ:Amazon で見つけた「数々の名盤」の一部。

魔法使いの弟子~スーパー・ピアノ・デュオ


ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲第1番・第2番


モーツァルト:2台と四手のためのピアノ作品集








ミゲル・デル・アギラのピアノ曲いい♪:現代ピアノ音楽作曲家探索

《『蜜蜂と遠雷』風変わりな感想文?》に「コンポーザー・ピアニスト」に対する期待をちょっと書いた。「コンサートピアニストによる新曲発表リサイタル」なんていいよね ♪ という話も…。

そこで、さっそく現代の「コンポーザー・ピアニスト」をネットで探そうとしたのだが、なかなかうまく見つからない。どうしよう?と思っていたら、英語の Wikipedia にいいページを見つけた。"List of piano composers" という項目で、ピアノ音楽を作った作曲家の一覧表が載っている。

で、このページの「20世紀」と「コンテンポラリ」の作曲家を、片っぱし(ボチボチ…)チェックしてみようと思った次第。「コンポーザー・ピアニスト」の探索とはちょっと違ってくるが、中にはピアニストもいるだろう、ということで…。

「コンテンポラリ」から始めようと思ったのだが、「主なピアノ作品」が載っている「20世紀」から始めることにした。その一覧表はこちら(↓)。ここにチェック結果を随時追加記入する予定。

〈20世紀のピアノ音楽作曲家:list〉

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昨日、一人目をチェックしたのだが、いきなりいい感じの作曲家に出会ってしまった! リストの一番上に載っていたミゲル・デル・アギラ(アギーラ)という作曲家&ピアニスト。一人目から「コンポーザー・ピアニスト」、しかも59歳の現役。幸先のよいスタートだ…(^^)♪

Miguel del Aguila(ミゲル・デル・アギラ)、1957年ウルグアイ生まれの米国の作曲家・ピアニスト。グラミー賞に3回ノミネートされた人気作曲家。これまでに115以上の作品を発表し、CDは34枚にのぼる。

現代的な作風ではあるが「現代音楽」的ではなく、ラテン的なリズムやジャズのノリを感じさせ、ときにミニマル的な美しいフレーズなどの要素も出てくる。

本人のサイト(↓)があるので、詳しいことはそちら(英語ですが…)をどうぞ…。

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主なピアノ作品として紹介されていたのが、Toccata、Sonata No.2、Conga、Nocturne の4曲。これに、途中で見つけた Music in a Bottle という曲を聴いた第一印象を簡単に書いてみる。

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TOCCATA for solo piano

1988年の作品。ウルグアイの Candombe(カンドンベ)というアフロ・アメリカン・ダンスのリズムが使われている。現代的な印象だが、パーカッション的なノリは嫌いじゃない。ハープシコード版やオーケストラ版もあるようだ。


PIANO SONATA No.2 Mvt.1 Allegro
PIANO SONATA No.2 Mvt.2 Lento
PIANO SONATA No.2 Mvt.3 Presto

1988年の作品。個人的な好みからいうとまあまあという感じ。…だけど、もう一度聴いてみたいという気はしている。解説によると…。

第1楽章:次第に盛り上がるオスティナートの上で"Gaucho song"(ウルグアイ、アルゼンチンのガウチョの民の歌)が自由に歌われる。

第2楽章:ヒナステラを思わせる静かなアルペジオで始まる楽章は、第1・3楽章の間奏のような役割を果たしている。

第3楽章:"witty, lively humorous and sarcastic"という解説。スケルツォ的ということ?冒頭から終わりまで "animando"(生き生きと速く)で、1920年代ジャズやカリビアン・ダンスのようなリズムが交錯する。


CONGA for solo piano

時計のチクタク(ticktack)のような、高音のきれいな音のリズムで始まるミニマル的なものを感じさせる曲はなかなかいいと思う。カリブ風、CONGA ダンスのリズムだそうだ。

解説には「長く連なる死者のダンス」とか「その魂を慰めるための歌」とか出てくるのだが、音楽そのものからはそういう暗さはあまり感じられず、むしろ繰り返されるリズムとフレーズの心地よさが印象に残った。


NOCTURNE for solo piano

1998年に書かれた。静かなジャズの曲を聴くような、いい雰囲気をもった曲。


MUSIC IN A BOTTLE for solo piano

1999年に J. Miltenberger というピアニストの委嘱を受けて作曲された作品。タイトルから想像されるように "message in a bottle"(「ボトル・メール」:和製英語?)をイメージして作られた曲。

10分足らずの曲だが "I. The Journey", "II. The Message", "III. The bottle sinks" の3章からなる。解説によると、人間の存在や人生を内省的に描いたとあるが…。

"the symbolic journey of a bottle carrying a message across the oceans and finally sinking without its message never having been delivered..." ちょっと切ない曲かも…。

でも、聴いた曲の中ではいちばん好きな曲かもしれない。

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一通り聴いただけでは本当のところは分からないかも知れないが、少なくとも第一印象は悪くない。かつ、もう一度聴いてみようという気になる曲がいくつかあったので、とりあえず「お気に入り候補」ということにはしておこうと思う。

次は、まぁ、ボチボチということで…(^^)♪







ジョルジェ・エネスクすごい!音楽祭・コンクール・管弦楽団・博物館…

シャルル・リシャール=アムランのインタビュー記事でエネスクという作曲家の名前を知った(↓)のだが、実は結構すごい人だった…(^^;)…という話。

《C.R=アムランのインタビュー記事:「曲の中でエクササイズ」(^^)♪》

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ジョルジェ・エネスク(George Enescu、1881年8月19日〜1955年5月4日)はルーマニアの作曲家、ヴァイオリニスト、ピアニスト、指揮者、音楽教師。調べてみると「20世紀の重要な音楽家の一人」「ルーマニア随一の音楽家」「ヴァイオリンの巨匠・名伯楽」などという最大級の賛辞が並んでいる。

とくにヴァイオリンでは「クライスラーやティボーと共に20世紀前半の三大ヴァイオリニストの一人」であり、かつ門下生には、ユーディ・メニューイン、アルテュール・グリュミオー、クリスチャン・フェラス、イヴリー・ギトリスといった名手の名前が並んでいる。

作曲家としては、「ルーマニア狂詩曲」(第1番、第2番)というのが有名らしいが、ちょっと聴いた感じではあまり好みではなかった。ピアノ曲はそれほど多くはない(後述)。

下記の写真は George Enescu Festival サイトからお借りしたもの。威厳に満ちたヴァイオリニスト、という感じ。


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ピアノ作品としては、PTNAピアノ曲事典を見ると、ピアノソナタが3曲と「組曲」が3曲ある。

一通り聴いてみた範囲では、好きとも嫌いとも言えない「微妙」な感じだ。美しい箇所もあるし、面白いところもあるのだが、何だか全体的には「音が多すぎるのでは?」という印象の曲が多い。演奏によるのかも知れない…。

その中では、アムランが弾いている「組曲第2番 Op.10」が一番好みに近い曲だった。どこか懐かしいような(たぶん)ルーマニアの民族音楽的なメロディーが好ましい。

George Enescu - Suite no. 2 op. 10 - Charles Richard-Hamelin, piano

ちなみに、「成熟期の代表作」「微分音を使用」「副題に『ルーマニアの民俗様式で』とある」といったことで興味を持った「ヴァイオリン・ソナタ第3番」を聴いてみたのだが、これが意外によかった。

Patricia Kopatchinskaja / Mihaela Ursuleasa - George Enescu Violin Sonata No.3, Op.25

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で、実は「ジョルジュ・エネスク国際音楽祭」というのがあり、1958年から2年に一度、ルーマニアの首都ブカレストで開催されている。ヨーロッパ各地から著名なオーケストラや演奏家が集まり、オペラやバレエの公演も行われるようだ。

"George Enescu Festival"サイトに "2017 EDITION" の案内が出ており、9月2日〜24日開催となっている。名誉総裁?はズービン・メータ。

紹介記事等には音楽祭と合わせて国際コンクール(ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、作曲)が行われると書いてあるが、次のコンクールは来年2018年となっている…(^^;)??
"competition 2018"

"2017 EDITION" は "Festival" ではないのかも…?

英語のWikipedia の "George Enescu International Piano Competition" の項には歴代の入賞者が載っている。聞いたことのある名前でいうと…。

1964年1位:エリザーベト・レオンスカヤ
1967年1位:ラドゥ・ルプー
1970年1位:ドミトリー・アレクセーエフ
2014年2位:イリヤ・ラシュコフスキー

なお、2016年には2位に Takuma Ishii(石井 琢磨?)というピアニストが日本人として初めて入賞している。

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エネスクはルーマニアでは国を代表する音楽家のようで、国立のオーケストラは彼の名前を冠した「ジョルジュ・エネスコ・フィルハーモニー」である。1920年から60年にかけて指揮者を務めたエネスクはこのオーケストラを国際的に有名にしたとのこと。
ルーマニア国立ジョルジュ・エネスコ・フィルハーモニー

また「ジョルジュ・エネスコ博物館」もあり、彼が愛用していたピアノ、バイオリン、写真などが展示され、彼が暮らしていた部屋も見ることができるようだ。
The National Museum “George Enescu”

ちなみに、ルーマニアの紙幣にもなっている。
(写真は下記サイトからお借りした「5Lei 紙幣」)
世界の紙幣・貨幣  ルーマニア

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それにしても、こんなすごい人なのに今まで知らなかったとは…。日本ではあまり知られてないのか…な?







モーツァルトのピアノソナタK.570弾き方♪色々…

昨日の記事《近況:モーツァルトのソナタ「新規まき直し」!》に、「どう弾くかというイメージを深める」ということを書いた。

YouTube で何人かのピアニストの演奏を聴いて、いくつかの弾き方のイメージが見えて来たような気がする。それを何となく分類?してみるとこんな感じ(↓)…。

①ピリス:上質の純正モーツァルト
②シフ:バッハ(バロック)風
③バレンボイム:ベートーヴェン風
④モーツァルトのオペラ風
⑤ソナチネアルバム風


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以下、簡単に説明をしてみる。

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①の「上質の純正モーツァルト」としたのは、私のモーツァルトに対するイメージに一番近くて、好みにも合っているピリスさんの演奏。私の中では「これぞモーツァルト!」という感じだ。

Mozart, Sonata para piano Nº 17, K 570. Maria João Pires

よくある「頭の良くなるモーツァルト」とか「植物が元気になるモーツァルト」とか、世間一般の「モーツァルト的演奏」というのがあると思うのだが、それよりももっと艶があるというか、魅力やダイナミックさに富んだ豊かなモーツァルトというイメージだ。

こういう演奏は、一見(一聴)簡単そうに見えて、実はとても難しいのではないかと思う。正しく弾くだけでは、こういう演奏にはならないと思う。

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②のシフの演奏は、ちょっと面白い。モーツァルトを少しバッハの時代に引き戻して、対位法的な色彩を色濃く出した演奏だと思う。タッチや装飾音符(トリルなど)からもバロックの香りを感じることができる。

YouTube では第1楽章しか聴くことができなかったが、端正な感じが好ましい。

Mozart Sonata B flat Major K.570 1st Mov. Schiff

シフの弾くバッハ(平均律とかフランス組曲とか…)では、対位法の中の内声やベースのフレーズがときおり浮かび上がって来たり(強調されたり)して、それがちょっと意外な面白さを醸し出すことがあるが、このモーツァルトでも同じような印象の部分がある。

例えば次(↓)のような箇所。上の段の左手の伴奏は、右手の旋律に呼応するかのようにやや強めに、かつノンレガート的に弾かれる。下の段では、突然「内声」(アルト:黄色いマーカ部分)が表に出てきて?びっくりする。

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③のバレンボイムの演奏は、シフとは逆に次の時代の雰囲気というか、ベートーヴェンの中のロマン派的な要素を感じさせるような演奏だと思う。バレンボイムの芸風?を反映しているとも言えるかもしれない。

「モーツァルトらしさ」みたいなものをとりあえず横に置いておくとすると、こういう響きとダイナミクスは好きである。「もっと自由に弾いていいんだよ」というバレンボイムの声が聞こえてくる…かも…(^^;)??

Mozart - Piano Sonata No. 17 in B-flat major, K. 570

これら①②③の演奏がそれぞれに成り立つということは、モーツァルトの音楽というものがバッハとベートーヴェンとその両方の要素を持っているからなのかも知れない。バッハの音楽を正しく引き継いで発展させ、ベートーヴェンの時代を先取りしているモーツァルト…?

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④の「オペラ風」というのは、誰かの演奏を聴いて感じたのではなく、いろいろ聴いているうちにふと思いついたものである。その理由は主に第1楽章にあるようだ。

例えば、何となく『魔笛』の音楽を連想させる?「同音連打の第2主題」とか、突然のフォルテの和音(21〜22小節目)による「場面転換」とか、オペラ歌手が歌い上げるようなフレーズ(23小節目からの「推移主題」)とか…。

で、オペラ風の演奏というのもありうるのではないかと YouTube で探してみた。いくつかの演奏を聴く中で、一番近いかな?と思ったのが次のミェチスワフ・ホルショフスキ(昔の巨匠?)の演奏。

Mieczyslaw Horszowski plays Mozart Sonata in B flat K 570

オペラ風と思って聴くと、第3楽章などもなかなか面白く感じる。

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⑤は私が勝手に命名しているが、要はピアノ教室のお手本のような演奏。

この曲は作りがシンプルというか、基本的な音型が多いので、ある意味「ピアノ教室的な」演奏というのが想像しやすい曲だと思ったのだ。技術練習のための素材、あるいは習得した技術を応用する曲としての選曲…?

聴く(鑑賞する)ための演奏としては、あまり面白くないかもしれないが、そういう「基本に忠実な」「ピアノの先生が(お手本として)好みそうな」演奏もありうると思った。弾き手の「意図」が分かりやすく実現されている演奏?

例えばこのPTNAの「お手本音源」(↓)などはそういう弾き方なのかもしれない。

モーツァルト/ソナタ第17(16)番第1楽章 K.570

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で、こうやって見てきて…、さて自分はどういう弾き方をしたいのだろう、と自問してみる。

①のような演奏をしてみたいとは思うが、難しい、私には無理。比較的、自分の弾き方としてアプローチしやすそうなのが③のベートーヴェン風(バレンボイム)のような気がする。もともとベートーヴェンが好きなのでそう思うだけなのかも知れないが…。

④のオペラ風も捨てがたいので、モーツァルトがこの曲で作り上げた「ピアノで作るジングシュピール(歌芝居)」みたいなものを想定しながら、自分なりの(ややベートーヴェン風の)「感情移入」のようなものをやってみようかと思っている。

どの程度できるかは分からないが、そういうイメージを持って、そのイメージに合った音を出すことを目指して練習した方が、格段に面白くなると思うのだ。さてさて、一体どんなものになるのやら…(^^;)?