ピアノの本棚2013 ♪

PianoHondana.png 2013年
 読んだ本

:お薦め、→:関連記事
「からだで変わるピアノ」

読書メモ:からだで変わるピアノ
弾き方ガイドブック『からだで変わるピアノ』
「ピアニストの脳を科学する: 超絶技巧のメカニズム」

読書メモ:ピアニストの脳を科学する
感動を生み出す演奏
「脱力」を科学する
「ピアノを弾く手 ピアニストの手の障害から現代奏法まで」

読書メモ:ピアノを弾く手
「ピアニストは指先で考える」

暗譜力?
「目からウロコのピアノ奏法」
「『ピアノ力』をつける!」
「ピアニストの毎日の基礎練習帳」

基礎練習の下調べ:「ピアニストの毎日の基礎練習帳」
「よくわかるピアニストからだ理論」
「ピアノが上手になる人、ならない人」
「『音楽的』なピアノ演奏のヒント: 豊かなファンタジーとイメージ作り」
「世界最高のピアニスト」
「静けさの中から: ピアニストの四季」

ピアノの本ベスト5:③読み物など
「クラシックがすーっとわかるピアノ音楽入門」
「ラヴェル―回想のピアノ」

読書メモ:ラヴェル ―回想のピアノ
「音楽の捧げもの」
「すべては音楽から生まれる」
「青島広志の作曲ノススメ」

読書メモ:青島広志の作曲ノススメ
「ピアノはなぜ黒いのか」

読書メモ:ピアノはなぜ黒いのか
「ピアノと日本人」
「スタンウェイ戦争 誰が日本のピアノ音楽界をだめにしたのか」
「100のレッスン・ポイント」

読書メモ:100のレッスン・ポイント
「耳で考える ―脳は名曲を欲する」

読書メモ:耳で考える
「感動をつくれますか?」

読書メモ:感動をつくれますか?

※Amazon「インスタントストア」終了(2017.10.27)に伴い内容をこちらに移動


すみません!テスト記事です:ピアノの本棚2013

この記事はテストのためのものです。

ずいぶん前にアマゾンの「インスタントストア」というのを利用して、読んだ本の記録をつけていました。最近ではほぼ放置状態なのですが、近々このサービスがなくなるというので、改めてその『ピアノの本棚』(2017年10月27日で終了)をチェックしてみました。
《「ぴあのピアノの棚」を作ってみた》

自分の読書記録でもあるし、たまにあの本をもう一度読みたいと探すこともあり、このまま削除されてしまうのも寂しいので、なんとかこちら(ブログ記事)の方に引っ越しできないかと試行錯誤中です。簡単にコピペで持ってくる方法が見つからず、一つ一つ手作業でやるしかないかも知れません…(^^;)。

…ということで、この記事でその「試行錯誤」をする予定です。とつぜん見え方や内容が変わるかも知れませんが、ご容赦のほどよろしくお願いします。サービス終了の10月27日までには何とかしたいと思っています。


PianoHondana.png 2013年
 読んだ本

「からだで変わるピアノ」

読書メモ:からだで変わるピアノ
弾き方ガイドブック『からだで変わるピアノ』
「ピアニストの脳を科学する: 超絶技巧のメカニズム」

読書メモ:ピアニストの脳を科学する
感動を生み出す演奏
「脱力」を科学する
「ピアノを弾く手 ピアニストの手の障害から現代奏法まで」

読書メモ:ピアノを弾く手
※Amazon「インスタントストア」終了に伴い、内容をこちらに移動

『バイエルの謎』面白い!最高のミステリー ♪

『バイエルの謎』という本を読んだ。バイエルそのものに興味があったわけではないのだが、読む本がなくなったので…(^^;)。

ところが、読み始めるとこれが実に面白いのだ♪!本の帯に「読み応えのあるノンフィクション」とあるが、私の感想は「良質なミステリー小説」のような面白さであった。

「音楽書」として、例えば「バイエル」のピアノ教育における位置付けとか、使い方とか、音楽的な評価とかを期待するとちょっと違うかも知れない。…が「バイエル」の本当の姿を知るには音楽(史)的にも重要な本だと思う。

このブログ記事も、最初は著者(安田寛 氏)が4年にわたってヨーロッパやアメリカの現地調査を行い発見した数々の新しい事実を整理しよう、と思っていたのだが、「ネタバレ」になってしまう恐れもあるのでやめた。謎解きの面白さを味わうべき労作だと思う。

バイエルの謎
: 日本文化になったピアノ教則本


日本において「バイエル」は一つの「文化」になっているとこの本には書かれている。実際「バイエル」=「入門書」のような使い方さえされることも多い(例:『英語のバイエル』)。また「バイエル」をベースとした様々な教則本や曲集なども非常に多い。アマゾンで「バイエル」と検索すると、なんと1,460件も出てくる。

この本の出発点は、それほど日本文化に根付いた「バイエル」のことが、実はほとんど分かっていない、という不可解な状況にあった。なぜ「バイエル」だったのか、誰が日本に持って来たのか、日本に伝わって以来140年近く使われてきたのはなぜか、初版本は残っているのか、そもそもフェルディナント・バイエルとは誰なのか(伝記がない)などなど…。

これらの謎に挑んだ著者の波乱に満ちた探索の記録が本書なのだが、今回は「謎解きの面白さ」を損なわない範囲で、私が面白いと思ったことをトピックス的に書いてみたい。


初版「バイエル」の表紙(この本から借用)
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まず「なぜバイエルだったのか?」に対してよく言われることは「他に選択肢がなかったから」というものであるが、どうもそれは事実に反するらしい。1880年に「バイエル」が日本に入ってきた時点で、すでに2つの教則本があったようだ。リチャードソンのものとウルバッハのもの(どんなものか知らないが…)である。

ただ、もちろん「バイエル」がピアノ教則本のスタンダードになったのにはそれなりのワケがあったのだが…。

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面白かったのは、それまで標準的に使われてきたものが、なぜ急に「バイエルは古い」「日本以外では使われていない」ということになったか、という理由。

それには、1987年に出版された「日本の音楽教育」という本(ロナルド・カヴァイエ、西山志風 著)が大きく関わっている。その中にバイエル批判?のようなものが展開されているらしいのだ。

「本国のドイツでさえ、もはや忘れられている教則本です」「使っているのは日本だけ」といったことが語られており、それが当時のピアノ教育関係者に相当なショックだったのだろう。これが、その後の「バイエル離れ」を加速したと推測される。

ただ、笑ってしまったのは、その後にそれに代わるものを聞かれて「クルターク(クルターグ・ジェルジュ)」と答えているところ。なぜなら、クルターグは著者のカヴァイエの師匠であり、その『ピアノのための遊び』に緒言を書いているらしいのだ…(^^;)。

念のために付け加えると、クルターグ本人とその「遊び」については個人的には好きだし高く評価している。でも、ピアノ教本としてはどうなんだろう?
《クルターグ・ジェルジュ:ピアノ音楽の玉手箱♪》

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ところで、バイエルというと漠然とピアノ教本の入門編というイメージしかなかったのだが、前書き(↓)にはちゃんとその目的などが書いてあるようだ。

「この小品は将来のピアニストができるだけやさしい仕方でピアノ演奏の美しい芸術に近づけることを目的としている。…この作品は、音楽に理解がある両親が、子どもがまだほんの幼いとき、本格的な先生につける前に、まず自分で教えるときの手引きとしても役立ててほしいものなのである。…」

また、「バイエル」には作品番号がついていて、Op.101 なのだが、Op.101 bis という「付録:親しい旋律による百曲のレクレーション」があり「ローレライ」とか「蝶々」が含まれているらしい。併用曲集としては、他にも Op.148、Op.148 bis というのがある。

それから、本体(Op.101)の構成を解明するくだりも面白い(ピアノの先生には役に立つかもしれない)のだが、ややこしいのでヒントだけ。

ヒント1訓練楽譜(エクソサイズ)、お楽しみ曲(レクレーション)、練習曲(スタディ)の区別
ヒント2「静かにした手」("Die stillstehende Hand"=ポジション移動・指の交差のない運指)

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もう一つ興味深かったのは、バイエルの作品を出版しているのが「ショット社」という話。

ショット社といえば、カプースチンの楽譜を次々に出している出版社として初めてその名前を知って、なんだか面白い会社だなぁくらいに思っていたのだが…
《カプースチンの楽譜21冊発売 ♪!》

実はすごい老舗だったのだ…(^^;)。なんと、ベートーヴェンの交響曲第9番を出版(初版!)し、ワーグナーと契約してその分厚いオペラも出版したという本格的な出版社だ。

その1900年発行の出版カタログを見ると、ページ数で一番多いのが実はバイエル(27ページ)だそうだ。2番目のワーグナーが24ページで、その他、ブルクミュラー12ページ、ベートーヴェン12ページなどとなかなか面白い数字が並んでいる。

当時、バイエルは「売れっ子」だった可能性があるわけだ。

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この本の最後の方は、バイエルが実在の人物なのかどうかという謎に迫って、その戸籍やお墓を探すということになるのだが、その結末を知りたい方はこのノンフィクション『バイエルの謎』をどうぞ。

ちなみに、お手軽な文庫本も出ていて、こちらの表紙は「赤バイエル」とそっくりさん(↓)になっている。

 








井上直幸氏の『ピアノ奏法』いい!座右の書にしよう♪

1ヶ月半ほど前の記事《日本クラシック界の「ドメスティックな専門家」vs「音楽ファン」?》で「ピアノ奏法に関する本も、本格的なものはほとんど海外の本だ」と書いたら、「井上直幸氏の『ピアノ奏法』という本(↓)はもうお読みになりましたか?」というコメントをチロルさんから戴いた。

『ピアノ奏法―音楽を表現する喜び』
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この本、実はピアノを始めた4年くらい前にざっと読んでいるはずなのだが、内容はほとんど覚えていなかった。当時の私には難しすぎて(言葉や楽譜もよく分からなくて…)目を通しただけになっていたようだ…(^^;)。なので、今回ちゃんと読んでみた。

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この本は、読み始めたときの「第一印象」がとても良かった。

まず第1章から「良い演奏とは?」というタイトル。私が一番興味を持っていることだ。で、第3章に「表現のためのテクニック」とあるのもいい。テクニックは表現のためにあるべきだし、表現したいものに応じたテクニックがあるはずだと思っている。

そして、第1章の初めにいきなり出てくる「『ピアノを弾くことが楽しい』と感じられるようになること」というメッセージを読んでとても嬉しくなってしまった。以下、いいな♪と思ったことなどをメモっておきたい。

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練習については「弾かないで楽譜を読む時間を作る」のが大事だと書いてある。ソルフェージュ能力の低い(楽譜を見て歌えない)私にとって、これはかなりの難関だ。

ただ、具体的例で説明してあるので「楽譜を読む」イメージは少しは分かったかも…。

で、実際にピアノを弾くときは、「音楽のイメージが先行していること」(ネイガウスさんも言っていた…)、頭だけでなく「感情が一緒に動いていること」(シーモアさんも言っていた…)などと書いてあるが、なかなか一筋縄では行かない。(でも、心がけたい…)

一つのヒントは「フレーズの形」を意識して、それが自分のイメージするきれいな姿になっているかどうかを耳でチェックすること。これは、ちょっと試してみようかと思った。

それから「難所」の練習にも触れてあるが、「特別な練習方法はありません」とそっけない…。大切なことは「音を出す前の準備」で、腕や身体が柔らかさを保っていることがポイントだとある。それがなかなか難しいのだが…(^^;)。

まぁ、難所に「じっくり繰り返し取り組む」ことが基本で、ある程度弾けるようになったら少し前から弾く→さらに前から弾く→さらに前から…というふうにやって行く方法(手順)が紹介されている。

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ピアノ奏法や技術について面白かったのは、一つの同じ旋律をバロック、古典、ロマンそれぞれの弾き方で「実演」しているところ。楽譜で見ると、装飾音符や強弱の付け方が違う。奏法としては、バロックと古典は指による奏法、ロマンは重量奏法と使い分けている。

技術的なことでナルホドと思ったのは「タッチの方向」。指が鍵盤に当たるとき(とその前後)の動きにいろんな種類があるということが説明されている。

具体的には、上下運動(上から下、下から突き上げる)、腕の振り(外側から内へ、内側から外へ)、出し入れの運動(押し出す、手前に引く、つかむ/ひっかく)など。こういうことはあまり考えたことがなかったので、少し気にしてみようと思う。

また、ピアノを弾いているときには常に「キーに密着している指先を意識すること」が重要だとのこと。これも努力してみようと思う。もちろん「指が独立に動くこと」も大事…というのは分かっちゃいるがなかなか…(^^;)。

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それから、新しい言葉(ドイツ語)を二つ覚えた。「シュッテルング:Schüttelung」(腕の振り)と「ロールング:Rollung」(腕を回す)。

「シュッテルング」は『シャンドール ピアノ教本』に出てきた「回転」(↓)と同じ?

《ピアノでの「回転」練習→トリル〜オクターブ ♪》
《難所攻略法:オクターブのトレモロ=回転+脱力+高速移動!》
〈シャンドール ピアノ教本5:基本動作③回転〉

「ロールング」の方は、図で見るといわゆる「手首の回転」のように思える。これはあまり得意ではない。

あと、ペダルについては、以前《ピアノ奏法:「ペダルの現代技法」は体系的で分かりやすい ♪》でいい本を見つけたと思ったが、この本にも体系的な説明があって分かりやすい。「ピッツィカート」や「ディミヌエンド」の効果を出すペダル奏法は初めて知った。

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最後の章にある「演奏の基本感覚」というのは、当たり前のことのようで、あまり意識していなかったなぁと深く反省した部分である。

簡単に言うと「ハーモニー感、テンポ感、リズム感、曲の形を感覚でとらえること」なのだが、頭では分かっていても「感覚で捉える」となるとかなり怪しくなる…。

ここでいう「曲の形」というのは、曲の形式や構造、曲全体の流れや起伏、そしてそれを構成するモティーフなど素材の形などのこと。

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チロルさんのコメントには「piaさんが好きそうな内容だと思います」とあったのだが、「はい、まったくその通りでした(^^)」。この本の存在を思い出させて戴いて、ありがとうございました ♪

この本に書いてある「ピアノと向かい合っているのが、自分にとって何か特別な時間」になるよう、この本を「座右の書」にして頑張りたいと思います…(^o^)。







スタインウェイを買うなら1900年〜1967年もの?

「ニュースタインウェイ」という単語が気になって、つまりスタインウェイのピアノに新モデルがあるのか?と思って、図書館にあった『スタインウェイとニュースタインウェイ』という本を借りてみた。



まぁ、私にはまず縁のない(せめて試弾くらいはしてみたい…)スタインウェイのピアノであるが、製作年代によってかなり品質が違う、ということが書かれている。

この本には、スタインウェイの品質が低下していることに対して一石を投じたい思いが滲み出ている。私などが聴いて分かるほどの品質の違いかどうかは分からないが…。

以下、メモ的感想文と最近のスタインウェイの状況メモ。


steinway.png


楽器としての復元力

 
スタインウェイ・ピアノの特徴はその音質・音量や弾き心地の良さにあると思われる(想像するしかない…)が、この本の著者(磻田耕治 氏)によると、楽器としての「復元力」の大きさが他の楽器と違うらしい。

復元力とは、オーバーホール(すべての弦を張り替え)したときにどの程度元の状態に戻るかということ。通常のピアノでは元の能力の70〜80%程度だが、スタインウェイは100%あるいはそれ以上に復元できるようだ。

その理由として一番大きいのが「設計」で、他のピアノとは一線を画しているらしい。そして使われている部品(木材、鉄骨、フェルト、等)の品質。


例えば、ピアノの音を決める重要な要素の一つである「響板」。強く張り詰めた弦の圧力が「駒」を通じてかかり続けるため、経年劣化して響板が沈下していくのが普通である。

が、スタインウェイでは、響板にかかる弦圧力を鋳物のフレーム、支柱、胴体とのあいだで調整し、響板が沈下しないように作られているようだ。

実際、スタインウェイの響鳴板は弦を取り除くと浮き上がってくる、つまり板が元に戻ろうとする力を貯えているらしいのだ。これが長寿命の秘密の一つだろうと、著者は推測している。


いい音の元は「弱さ」?

 
ところが、その強大な音量からは想像できないが、スタインウェイのピアノは外部からの衝撃などにはまったく弱いそうだ。逆に、日本のピアノなどは鉄骨、胴体、そして響鳴板の部分がやたらと強靭に作られており、それらの部分に「あそび」がなさすぎる、とのこと。

いい音を出すことにこだわると、「極端に言えば、ピアノは弦の張力で胴体、フレーム、響鳴板が少々縮むぐらいのきわどい設計で作られるべき」と著者は言う。

軽量で適度の弾力性のある鉄骨と響板と弦とが、ちょうどよいバランス(テンションバランス)をとって、もっとも力強く豊かな音を響かせるようになっているのだろう。


もう一つ、意外だったのは弦の張力の弱さ。著者が実際に計測したデータが載っている。一部を引用すると…。

S=スタインウェイO型(ドイツ製)
B=ベヒシュタインM型(ドイツ製)
Y=ヤマハC3(日本製)

上の3つのピアノで「F音(69鍵)」の弦の「張力(kg) / 長さ(cm) / 太さ(mm)」を測った結果が下記。

S:68.828kg / 13.30cm / 0.875mm
B:89.357kg / 14.40cm / 0.925mm
Y:78.002kg / 13.80cm / 0.900mm

つまり、スタインウェイは他社に比べて、弦が細く短く、張り方が弱い。大きな音のイメージとは逆だが、張力は弱い方が豊かな音になるような気がしないでもない。


一番いい時代のスタインウェイ


この本の中で何度か「この年代のスタインウェイが一番いい」といった記述が出てくるが、それぞれが微妙にずれている…(^^;)。

一級建築士みずからが自然木を選定し仕上げた建造物にも匹敵するような「昔の良き時代(1900年頃から1967年頃)」のピアノ、とった記述があるかと思えば、「大正の初期頃から昭和15年頃まで(1912-1940 )」「第二次大戦後の昭和25年頃より昭和45年頃まで(1950-1970)」のスタインウェイは「素晴らしい」とも書いてある。

「1890年〜1930年」が 最高、その次が「1940年〜1970年」と書いてある場所もある。まぁ、大きく違っているわけではないが…。

で、気になっていた「ニュースタインウェイ」であるが、これは著者の造語で、「現在製作されている残念な(素晴らしいとは言いがたい)スタインウェイ」を指しているようである。とくに、1970年頃以降のハンブルグ製はよくないらしい。(この本の著者の意見である…念のため)

まぁ、それでも他社のピアノよりは格段にいい、というか比較にならないとも書いてある。一番いい頃の「素晴らしいスタインウェイ」を知る、スタインウェイ・ピアノを愛する人ならではの嘆きだろう。


品質劣化の原因

 
残念な品質になってきた原因であるが、基本的には「ハイテク技術がスタインウェイダメにしている」ということらしい。

つまり、高周波などで短期間で木材を乾燥させること、コンプレッサー等で木材を瞬時に整形すること、フェルトを加熱貼などで硬化させること、等々。

ちょっと面白かったのが「フェルト」の劣化の話。原因は「酸性雨」だそうだ。

羊の毛が酸性雨に当たって劣化するだけでなく、間接的には羊の食べる草からの影響もあるらしい。その結果、生産されるフェルトの品質が悪くなってしまったとのこと。

ちなみに、過去最高品質のフェルトは1930年〜1980年頃のもので、毛足も長く適当な脂肪分を残していた。それ以降のものは硬くなっているようだ。

また、最近はビートの効いた音が好まれるようになった結果、フェルトの調整も硬めになっているという話もあるらしい。

全体的には、儲け第一主義の世の中の傾向も影響しているだろう。老舗のピアノメーカーも今や「ファンド」の売買対象になっているのだから…。


最近のスタインウェイ社の歴史(買収履歴?)

 
ということで、現在のオーナーを調べていたら、歴史をまとめた資料(↓)を見つけた。

✏️「スタインウェイの技術革新とマーケティングの変遷」(京都マネジメント・レビュー)

参考までに、下記に1900年以降を抜粋した。

1907 ドイツ、ハンブルグ工場、独自部品の使用開始
1909 ベルリン支社開設
1925 マンハッタン WEST57thStreet に新スタインウェイ・ホールを設立
1926 従業員 2,300 人、年間生産台数 6,294 台と生産のピークを迎える
1972 CBS がスタインウェイを買収
1985 ボストンの投資家グループがスタインウェイ&サンズを含め CBS の全音楽部門を買取
1994 スタインウェイ・アカデミーを設立
1995 バーミンガム兄弟がスタインウェイをセルマー社に売却
1996 セルマー社がスタインウェイ・ミュージカル・インスツルメンツ社と社名変更
2000 ドイツのカール・ラング社を買収
2013 ポールソン&カンパニーがスタインウェイ・ミュージカル・インスツルメンツを買取



最後(2013年)の買収は途中で「コールバーグ・アンド・カンパニー」が「ポールソン&カンパニー」に変わった(↓)ようなので修正してある。

✏️ポールソン&カンパニーによる買収について(リリース文)
✏️スタインウェイ社の新オーナー(調律師ブログ)


ポールソン&カンパニーは現時点では株を非公開にしているようなので、じっくり育てようということなのか?状況はよく分からない。


おまけ:最近のスタインウェイ

 
現在の状況をスタインウェイ&サンズ社の公式ページで見ると、iPadで制御する自動ピアノ "SPIRIO" が目立つくらいだろうか。

"SPIRIO" は、2014年に買収した Live Performance 社の技術を使って開発されたもので、2015年に発売されている。日本では今年(2017年)の後半に発売予定らしい。


メモ:普及価格帯のBOSTON は河合楽器製作所でのOEM生産。さらに安いESSEXの製造は、韓国のYoung Chang社、中国のPearl River社。