日本人ピアニスト探索2の最終結果 ♪

前回ご報告した時点(5月9日)では、50人のリストから5人の候補者を選んだ。それが、三輪郁、近藤嘉宏、高橋悠治、児玉麻里、藤井一興の5人のピアニスト。

《日本人ピアニスト探索その2:候補者選びの結果 ♪》
《日本人ピアニスト:探索候補リスト作成中 ♪》

その後、NAXOSにCD音源があった児玉麻里さんについてはじっくり聴いたりしたが、そのほかの人については、再度 YouTube 音源を聴いてみた。

で、5人を選んだ時点で、ある程度結果の予測はついていたのだが、お気に入り候補として残ったのは、けっきょく以前から名前を(何となくも含めて)知っていた3人だ。つまり、高橋悠治、児玉麻里、藤井一興の3人。

簡単に、5人の「お気に入り度」判定、というか感想を書いてみる。

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三輪郁さんはモーツァルトをきれいに弾くのだけど、逆に言うとそれだけ…という印象。

近藤嘉宏さんも、指がよく回るし弾き方もなかなかいい感じだし、演奏もそんなに悪くはない。ただ、何となく面白みに欠けるというか深みがないというか、あえてこの演奏を聴きたいとは思えなかった。ときに弾き飛ばしているように感じるところもある。

お二人とも、日本人ピアニストとしてはある程度の水準なのだと思われるが、ピアノ教室のお手本的な「とても上手な人」以上の感想は持てなかった。

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児玉麻里さんは、ベートーヴェンのピアノソナタ全曲を録音したCDがNAXOSにあったので、それを中心にいくつかの演奏を聴いた。

その中では、第29番「ハンマークラヴィア」がなかなか良かった。

〈児玉麻里:チェックメモ〉

ただ、何と言ってもベトソナは「激戦区」。たくさんの素晴らしいピアニストや演奏がある中で、あえて児玉麻里さんを聴く理由はあまり見当たらないと思った。まぁ、たまには違うピアニストの演奏を聴いてみるか、というときに思い出すかも知れない…というレベルだ。

ちなみに、ちょっと前に話題になった、妹の児玉桃さんとの共演CD "Tchaikovsky: Ballet Suites for Piano Duo" (↓)も聴いてみた。悪くはないが、それほど面白くもなかった。



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一番意外だったのは藤井一興さん。プロフィールを見ると「大先生」なのだが、演奏が予想に反して(失礼!)活き活きしていて魅力的であった。

NAXOS では "Igor Markevitch Piano Works" というCD(↓)があったのだが、この中にあるピアノ曲は YouTube で聴いた2曲と同じであった。



2曲とも知らない曲(知らない作曲家:Igor Markevitch)であったが、両方ともなかなか面白い曲だと思った。演奏も魅力的なので、もう少し聴いてみたいと思っている。(参考のため、YouTube 音源を再掲 ↓)

Kazuoki Fujii - Variations, fugue et envoi sur un thème de Haendel
Kazuoki Fujii - Stefan Le Poète, impressions d'enfance pour piano

驚いたのは、2014年から毎年ちょっと面白いCD(「ドビュッシー&別の作曲家」↓)を出していて、そのいずれもが「レコード芸術」誌で「特選盤」に選ばれていることだ。活動内容も若々しく意欲的な感じを受ける。(→参考:本人サイト

『ドビュッシー/デュティユー:前奏曲集』(2014年)


『ドビュッシー&ラヴェル』(2015年)


『ドビュッシー&ショパン』(2016年)


参考→〈藤井一興:チェックメモ〉

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高橋悠治さんは、もともとは作曲家として以前から興味があった人である。今回少し聴いてみて、ピアニストとしてもなかなか味があっていいなぁと思ったのだが、やはり演奏家というより「音楽家」として見た方がいいだろう。

NAXOS には30枚近いCDが登録されているが、ほとんどが「作曲:高橋悠治」である。『「不屈の民」変奏曲』だけは、古い録音(1989年CDリリース ↓)だが、「ピアニスト:高橋悠治」となっている。

『ジェフスキー:不屈の民「変奏曲」』


たぶん、下記 YouTube 音源と同じ?

Frederic Rzewski - The People United Will Never Be Defeated!

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ということで、今回の日本人ピアニスト探索の一番の収穫は藤井一興さん ♪

ただ、高橋悠治さんと児玉麻里さんも、機会があったら(かつ演奏曲目がよかったら)ナマで聴いてみたいと思っている。







ZEE ZEEというピアニスト ♪

オックスフォード・ピアノ・フェスティバルのサイトをチェックしたときに、何人か知らないピアニストがいた。その中の若手2人を少し聴いてみたのだが、中国の Zhang Zuo(ツァン・ツォ?)がちょっと良かったので「お気に入り」候補になるかも知れない。

参考:《オックスフォード・ピアノ・フェスティバル、凄い!♪》

音がクリアできれい。ただ音がきれいというだけではなく、その音でしっかり音楽が構築されていて、演奏が若々しいというか清冽というか、聴いていて好感が持てる。「詩心」みたいなものを感じる。

あえて注文をつけるとすれば、もう少し音質に変化があった方がいいとか、もう少し深みがほしいとかいったことがあるかも知れないが…。たぶん、そんな必要もないだろう。


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上の写真は彼女の公式サイトだが、なぜか "ZEE ZEE" となっている。通称か愛称として使っている名前のようだ。なんと読むのかな…?

生まれは中国深圳市、1988年。"the 1st International Piano Competition in China" で優勝したとあるが、どんなコンクールなのかは分からない。

公式サイトには、マネジメント: "CAMI Music" となっているので、けっこう実力を認められているピアニストのようだ。

ちなみに、CAMI(コロンビア・アーティスト・マネジメント)は有名な大手音楽代理店でルカくん(リュカ・ドゥバルグ)がチャイコンが終わってすぐに契約したときに、初めてその名前を知った。

《ルカ・ドゥバルグ君、大手音楽代理店と契約!》

このときに引用したピアニスト一覧の写真を見ると、最後に Zhang Zuo がちゃんと載っている…(^^)♪

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音源は YouTube にある程度あがっているが、公式サイトの MEDIA というところからもいくつかリンクされている。2013年のエリザベート王妃国際ピアノコンクールで5位に入賞しているので、そのときの音源もある。

その中で一番気に入ったのがシューベルトのピアノソナタ第13番。YouTube のタイトルでは "Piano Sonata #15" となっているが、単純なミスだろう…。

ZEE ZEE plays SCHUBERT Piano Sonata #15 In A major, D.664 - 1. Allegro moderato / 2. Andante / 3. Allegro

この音源はなぜか「限定公開」になっているので、公式サイトからしかたどれない。(ここにリンクを貼っていいのか悩んだが、公式サイトで公開しているので大丈夫だろう…)


ラヴェルの「夜のガスパール」(オンディーヌ)もわりと好きな演奏だ。

Maurice Ravel Gaspard De La Nuit played by Zhang Zuo(Zee Zee)

パーヴォ・ヤルヴィ指揮のベートーヴェンのコンチェルト第1番もなかなかの好演。

Ludwig van Beethoven - Piano concerto No. 1 / Zee Zee / Paavo Järvi / Estonian Festival Orchestra

ちょっと危なっかしいところもあるが、シューマンの "Symphonic Etude" もいい感じ。

Robert Schumann 12 Etudes Symphonic playd by Zhang Zuo(Zee Zee)


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もう一人の若手 Saleem Ashkar(サリーム・アシュカー:1976年〜、イスラエル)も少し聴いてみた(↓)が、こちらは音が少し硬すぎてあまり好みではなかった…。

Saleem Ashkar - Highlights from the second recital in his complete Beethoven Sonata Cycle
Saleem Ashkar - Beethoven Piano Sonata No 31 in A flat, op. 110 (Complete)







日本人ピアニスト探索その2:候補者選びの結果 ♪

5月の国内コンサート(ラフォルジュルネ等音楽祭を含む)に出演するピアニストを50人リストアップして、日本人ピアニストの探索第2弾をやってみた。

《日本人ピアニスト:探索候補リスト作成中 ♪》
〈日本人ピアニスト探索2候補者リスト:worksheet〉

とりあえずざっと聴いて、めぼしい候補者を探す「スクリーニング」(予備審査?)みたいなことを終えた。10人くらいは残るかなと思っていたのだが、結果は5人。全体的にも、あまり芳しい状況ではなかった。

残ったのは、三輪郁、近藤嘉宏、高橋悠治、児玉麻里、藤井一興(順不同、下記の絵の順)。高橋悠治、児玉麻里の二人は知っている、藤井一興という名前にも聞き覚えはある。


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50人のうち、YouTube にほぼ音源がないピアニストが30人もいたのには驚いた。日頃接する音楽のかなりの部分がネットになっている時代に、これではいないも同然だ。

音源がアップされているピアニストについても、動画そのものの品質も今ひとつだし、演奏に関しても残念なものが多い。ちょっと探索方法を考えた方がいいかも知れない…。

なお、山口哉(なり)、波田(はだ)紗也歌、堀内龍星という3人はとても若いので「保留」とした。3人とも「スタインウェイ・コンクール in Japan」の大賞受賞者。これからどう伸びるのかまだ不確定。

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下記に、この5人の公式サイトまたはプロフィールへのリンク(→Prof.)と、チェックした音源をあげておく。

各演奏に対する感想は書かないことにする。ざっと聴いただけで、なんとなく「好きか嫌いか」「聴くに値するか」「音楽になっているか」あたりの基準で、ちょっと迷った人もいないではなかったが、最終的には直感的に判断している。


三輪郁 →Prof.

"Iku Miwa plays Mozart" from TV program 1
"Iku Miwa plays Mozart" from TV program 2
Schubert Piano Sonata No.16 D.845-1


近藤嘉宏 →Prof.

Beethoven: "Appassionata" 3rd mov. /Yoshihiro KONDO(1999)
Yoshihiro Kondo plays Frédéric Chopin's Polonaise "Heroique "
Yoshihiro Kondo plays Brahms"Intermezzo in A major, Op.118-2”


高橋悠治 →Prof.

Yuji Takahashi plays Bach Six Partitas
Yuji Takahashi 『花簂』"Hanagatami"
Frederic Rzewski - The People United Will Never Be Defeated!


児玉麻里 →Prof.

Mari Kodama - Beethoven Piano Sonatas
Mari Kodama plays Stenhammar piano concerto in Gothenburg (excerpt)


藤井一興 →Prof.

ドビュッシー&ラヴェル/藤井一興
フォーレ ノクターン 第4番 変ホ長調 Op.36
Kazuoki Fujii - Variations, fugue et envoi sur un thème de Haendel
Kazuoki Fujii - Stefan Le Poète, impressions d'enfance pour piano


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このあと、この5人のピアニストについて一人一人聴いてみようと思っている。音源としては、YouTube と NAXOS Music Library くらいしかないが、近藤嘉宏以外はNAXOSに何枚かCD(室内楽なども含めて)があるようだ。

まぁ、ぼちぼち…と。







LFJ:フランソワ=フレデリック・ギィのベトソナ ♪!?

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一昨日に続いて、昨日のラフォルジュルネでは、フランソワ=フレデリック・ギィ(François-Frédéric Guy)を初めて聴いた。

フランソワ=フレデリック・ギィはこんな風貌(プロフィール)のピアニスト(↓ LFJサイトから引用、写真も)。

ドイツ音楽の名手として知られ、ベートーヴェンの全32曲のピアノ・ソナタと全ピアノ協奏曲(指揮:ジョルダン)を録音している。これまで、サヴァリッシュ、ハイティンク、ハーディング、サロネン、ナガノらと共演。多くの現代作品の初演を任されており、近年はオーケストラの弾き振りにも積極的に取り組んでいる。

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実は、このピアニストの名前を初めて知ったのは、ねもねも舎の次の記事。

✏️フランソワ=フレデリック・ギー、あるいはフランソワ=フレデリック・ギィ

ドイツ音楽(ベートーヴェン)が得意なフランス人というのがちょっと気になっていた。上の記事によると、フランス人のドイツ音楽は日本人にあまり評判がよくないらしいのだ。

それが、ラフォルジュルネでベートーヴェンのソナタだけのプログラムをやるというので、迷いなくチケットを購入した。のだが、やや「期待と不安」という感じではあった。曲は、第2番 イ長調 op.2-2 と第17番 ニ短調 op.31-2「テンペスト」。

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で、結果から言うと「期待と不安」がそのまま「いいなぁ♪」と「う〜m?」になった。というか、前者は私、後者はカミさんの感想。…というように珍しく意見・感想が分かれた。

まぁ、私の中でも諸手を挙げて賛成!という感じではないのだが、分かりやすく意見の相違をまとめてみると…。

「いいなぁ♪」の中身は…。

①音が固まりとして気持ちよく響いて「音楽」が伝わった ♪
②勢いがあるというのか音楽の「ノリ」が気持ち良かった ♪
③グールドのように所々で歌いながら弾くのは面白かった ♪

一方、「う〜m?」の中身は…。

①音が団子になってクリアじゃないところがあった…
②指が回り切れずに破綻しそうな(ニア)ミスも結構あった…
③うなり声のような「歌」はやっぱり邪魔…

まぁ、カミさんの意見「う〜m?」の方も分からないではない。

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①については、音楽の解釈というか、どういうベートーヴェンに仕上げたいのか、表現したいのかということにもよるのだと思う。

ギィさん(なんか「爺さん」みたいで語呂が悪いが…)の音は、ちょっと太めで、まろやかではあるがちゃんと芯はあるという感じ。私はベートーヴェンにはあっていると思った。

ただ、ややペダルが多すぎる感じで、おそらく本人がそういう響き・音質を出そうとしているのだと思うが、全曲をそういう感じでグイグイ来られると、ちょっと疲れるところもある。もう少しメリハリが、とくに緩むところや効果的なノンペダルの箇所があってもいいかも知れない。(ここはカミさんも同じ意見)

余談ではあるが、この辺り、音符の一つ一つが見えずに「音楽」が前面に出てくる演奏と、逆に音符の一つ一つはしっかり弾けているのだが「音楽」が聴こえてこない演奏、みたいなとらえ方もあるかもしれないと思った。(一度考えてみたい…)

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②については、実は私もハラハラしながら聴いていた。ただ「ハラハラ」の内容が私とカミさんでは違っていたようだ。

私は、この気持ち良い「ノリ」(音楽の流れ)が途切れませんように、という感じ。ハラハラしながらも勢いのある音楽を楽しめた。とくに最後、テンペストの最終楽章は聴きなれた曲なのに、活き活きとした音響に新鮮ささえ感じていた。よかった ♪

対してカミさんの方は「元ピアノ科の音大生」の聴き方とでもいうのか、指がもつれるたびにヒヤヒヤしていたようだ。まぁ、私の方はミスに気づくほど曲を熟知していない、というのもあるかもしれない…(^^;)。

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③については、私もない方がいいとは思う。…のだが、グレン・グールドをナマで聴いたことがないので、目の前で(4列目の席で)、実際に歌いながら弾くピアニストを聴くというのは初めての体験だったので、単純に面白がっていただけである…(^^)♪

ギィさんの演奏スタイルは「没入型」かも知れない。演奏が始まると、ほとんど鍵盤とにらめっこをするような姿勢で弾きまくる印象。

座席が右のほうだったので、残念ながら手の動きは見えなかったが、わざとらしい動きは感じられず、全体としては今演奏している作品に真摯に向かい合っている雰囲気を醸し出している。そのあたりは好感が持てる。

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音楽の聴き方・楽しみ方は人によって違っていて当たり前だと思う。どんな音楽・演奏が好きか、あるいは嫌いかというのも人それぞれだ。ただ、自分自身の感じ方には素直でありたいと思うし、自信を持ちたいと思っている。

昨日聴いたフランソワ=フレデリック・ギィのベートーヴェンは、とても面白かったし楽しめた。都合によりマスタークラスを聞けなかったのは残念であるが、今年のラフォルジュルネも行って良かったと思う…(^^)♪







LFJ:ネルソン・ゲルナー、多彩な音色が素晴らしかった ♪

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昨日はラフォルジュルネで、ネルソン・ゲルナー(Nelson Goerner)を初めて聴いた。

ネルソン・ゲルナーはこんなピアニスト(↓ LFJサイトから引用、写真も)。

1969年アルゼンチン生まれ。ブエノスアイレスのリスト・コンクールで優勝し、アルゲリッチに才能を見出されて渡欧。1990年、ジュネーヴ国際コンクール第1位。クリヴィヌ、N.ヤルヴィ、ルイージ、ロンドン・フィル、スイス・ロマンド管、ドイツ・カンマー・フィル、アルゲリッチ、イッサーリスらと共演。

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曲目は以下。私の好みからするとドビュッシー以外はそれほどではないが、こういうプログラムもたまには面白いだろうと思ってでかけた。

ショパン:ポロネーズ第5番 嬰ヘ短調 op.44
アルベニス:「イベリア」から エボカシオン、港、トゥリアーナ
ドビュッシー:「版画」から グラナダの夕べ
リスト:スペイン狂詩曲

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先行抽選予約でゲットしたチケットだったので座席が心配だったが、なんと!前から2番目の中央左。ピアニストの手も見えるし、結果的には音響も悪くなかったし最高の席だった ♪

1曲目、ショパンの最初では、低音が、よく響くのだがややこもって聴こえて来たので、音が頭の上を通り過ぎているのかと心配した。が、途中からそんなこともなくなったので、ゲルナーさん、ちょっと緊張していたのかも知れない。

そのあとの演奏での音(音色・音響)の素晴らしさを考えると、緊張で「音が響きにくいタッチ」になっていたのかも知れない。なので、演奏の印象としてはやや硬めのポロネーズであった。

音質も(たぶん)解釈も、よくある「ショパンらしい」演奏とはちょっと違っていたので、もう少し弾力性があってこなれてくれば面白いショパンになったような気がする。

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このプログラムで一番気に入ったのがアルベニス。

私としてはよく聴く曲ではないが、とても面白く心地よく聴かせてもらった。とくに、音色・タッチの多彩さと、その使い方・組み合わせの妙味が素晴らしかった。

右手の旋律と左手の伴奏、とはっきり分かれているような作りでは(たぶん)ないのだけれど、明快に響く右手と何とも言えないタッチで絡む左手と、まさに「織りなす」とか「紡ぎ出される」といった印象。それは、旋律が左手に移っても、両手での和音が混じり合っても立体的に響いてくる。豊かな色彩さえ感じられる演奏だった。

こんな風に弾けたら気持ちいいだろうな…♪ と思いながら聴いた。

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ドビュッシーは一番期待した曲だったのだが、残念ながら私の好みの演奏ではなかった。1曲だけだったので、もう少し聴いてみたい気もした。

もう少し細い、というか研ぎ澄まされた感じの緊張感のある音が欲しかった。あるいは、ゲルナーさんの音色にあった曲の作り方?もあったのかも知れない…。聴いている方が最後まで「乗り切れず」?何となくどっちつかずの印象だった。

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最後のリストは、あの小さな手でよく弾くな〜、よくリストの和音がつかめるな〜と感心するほどの熱演♪

リストの曲、とくにこの「スペイン狂詩曲」のように派手な曲はあまり好みではないのだけれど、面白かった。アルベニスと同様、音色やタッチがダイナミックに変化して、音楽の流れもドライヴ感があってどんどん進んでいくのは痛快でもあった。

ただ、途中からゲルナーさんの顔が、どことなくサーカスの熟練の芸人のように見えて来た…(^^;)。でも、終わったときの会場の「ブラボー」に珍しく共感できた演奏であった ♪

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それにしても、やっぱりナマのピアノの音はいい♪ 少し前にスタインウェイの本を読んでいたので(→《スタインウェイを買うなら1900年〜1967年もの?》)、気のせいか、響板とフレームと弦が響きあって楽器がよく鳴っているような気がした。

ゲルナーさんの印象は、舞台に出てくるところは、どこにでもいそうな「人のいいおじさん」という感じ…。思ったより小柄で手も小さい感じ。それで、これだけエネルギッシュな演奏ができるのだから、驚きである。

ピアノを弾く姿は、音楽に集中して、とても誠実な印象を受けた。私の「お気に入り」度で言えば、曲によっていろいろだが、全体としてはとても好感度が高かった。

わずか45分間のプログラムなのだが、なかなか充実していて楽しめた ♪