シンシナティ世界ピアノコンクール、60年の幕を閉じる…

「シンシナティ世界ピアノコンクール」が終了することになったようだ。

✏️Breaking: Major US piano competition shuts down
✏️Cincinnati World Piano Competition won't play it again

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このコンクール、私は初めて聞く名前なのだが、米国で60年も続いた老舗のコンクールであるとのこと。1970年代にはアンドレ・ワッツやアルトゥール・ルービンシュタインも関わっていたらしい。

財政難や内部事情?で2016年のコンクールは中止されていたが、ついに主催団体が解散したということのようだ。

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ところで、最後のコンクールとなった2015年(第59回)のセミファイナリストに浦山瑠衣さんという日本人がいたのだが、実はバルトークのピアノソナタを弾いたあとの「血染めのピアノ」が有名?になったらしい。その写真を見たい方は下記の記事で…。

✏️She played till her fingers bled

この人、2015年の浜松国際にも出場していたようだが、まったく記憶にない…(^^;)。

✏️77.浦山 瑠衣 / URAYAMA Rui

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過去の入賞者を調べようと思ったのだが、公式サイトはすでにクローズされているし、Wikipedia にも2年分しか載っていない。2015年のニュースと合わせると、最近の入賞者はこんな(↓)感じ。

2013年
金:Marianna Prjevalskaya
銀:Jin Uk Kim
銅:Misha Namirovsky

2014年
金:Moye Chen
銀:なし
銅:Feng Bian、Reed Tetzloff

2015年
金:Artem Yasynskyy(26, Ukraine)
銀:Nino Bakradze(30, Georgia)
銅:Mei Rui(32, United States)

知っているピアニストは2014年の Moye Chen(2016年シドニー国際ピアノコンクールの3位)だけ。Reed Tetzloff という名前もなんとなく聞き覚えがある。

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それにしても、ピアノコンクールを続けるのは大変なんだなぁ…と今さらながら思う。

記事によると、世界には800ほどの国際コンクールがあり、毎年300以上のコンクールが開催されているとのこと。シンシナティ・コンクールは、開催するために必要な $300,000(約3,300万円)が調達できなかったので…と書いてある。

大改革?中のリーズとかロンティボーは大丈夫だろうか?

《リーズ国際ピアノコンクール、復活なるか?ー新ヴィジョン発表!》
《ニュース:ロンティボー国際コンクール、1年延期!》







近況:スタインウェイで弾く曲を決める ♪

6月末に市民ホールのスタインウェイを弾ける(試弾できる)ことになった。海外のブランド・ピアノもフルコンサート・グランドも初めての体験なので楽しみにしている。

で、5月20日から、その時に何を弾くかで悩み始めている。カミさんからの「せっかくだから何曲かちゃんと仕上げて…」という言葉に乗せられて、ちゃんと!練習しようと思っている。ちなみに練習途中のベトソナ13番は途中離脱…(^^;)。

《近況:スタインウェイで弾くレパートリー??》
《ついにスタインウェイが弾ける!♪しかもホールデビュー!??》

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昨日までで、これまでに練習した曲の楽譜を並べてざっと弾いてみた。あまり出来の良くなかったものは除いて、気に入っている曲を中心に一応の候補を選んでみた。それが下記。[ ] 内はおおよその(私じゃなく標準的な)演奏時間。

バッハ:
「フランス組曲 第4番 変ホ長調」から〈アルマンド〉
 BWV 815 [3:00]

ベートーヴェン:
 ピアノソナタ第8番「悲愴」から 第2楽章 変イ長調
 Op.13 [5:00]

シューベルト:
「3つのピアノ曲(即興曲)」から 第2番 変ホ長調
 D946-2 [13:00(8:00?)]

ドビュッシー:
「ベルガマスク組曲」から〈プレリュード〉へ長調
 [4:00]


単純計算で「25分間」の内容である。私の場合、テンポがそれなりに遅くなり、曲間の間合いもあるので、たぶん30分以上はゆうにかかるだろう。これを「暗譜」して「ちゃんと」弾けるようになるのか??という大疑問は厳然としてある。

とくにシューベルトは長いので「反復」をスキップしようか、なんて畏れ多いことも考えている…(^^;)。13分が計算上は8分に短縮されることになる。

あるいは、他の短い曲と入れ替えることも考えられる。候補はブラームスの間奏曲(Op.117-1)、これだと5分30秒。まぁ、もう少し弾いてみてから考えようと思う。

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ところで、これだけ多く?の曲を一度に練習した経験はない。なので、どういう順番でどういうふうに練習しようかと悩んでいる。まったく見当がつかない。

とりあえず、1日1時間の練習時間を倍の2時間にすることにした。続けて2時間は体力(忍耐力?)的にしんどいので、例えば午前と午後に1時間ずつかなぁ、などと思っている。

練習の順番としては、まず短い曲から始めて「暗譜」をしてしまってから、順番に長い曲に移っていくのがいいかな?と漠然と考えているところだ。

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練習手順の作戦を考えるために(役に立つかどうかは置いといて…)小節数(とページ数)を数えてみた。繰り返しはカウントしていない

バッハ 〈アルマンド〉:20小節(2p)
ベートーヴェン「悲愴」2楽章:73小節(3.5p)
シューベルト D946-2:236小節(8p)
ドビュッシー〈プレリュード〉:89小節(6p)

やはり、シューベルトが長い。ちなみに「繰り返し」はおおよそ150小節あるので、それも含めると400小節近い「大曲」ということになる。短期間で「暗譜」できるか?心配になってきた…。

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ところで、一度練習した曲を久しぶりに弾いてみると、すっかり忘れていることにビックリする。あんなに練習して一度は「暗譜」したはずなのに…。楽譜には、苦労して考えたらしい、指使いなどの「書き込み」があるのだが、なんでこうなの?と思うようなものもけっこうある。

ただ、少し弾いているうちに、初めての曲より少しだけは弾けるようになるのが早いような気はする。2度目の練習だからなのか、少しは上達したからなのか?は分からないが…。(たぶん前者?)

もう一つ、すぐに解決すべき課題が見つかった。それは「ラクに弾く」ことが出来なくなっている?こと。

ベートーヴェンの13番ソナタの難しいところを「ピアノ教本」代りに反復練習しているうちに、力んで速く弾こうとするような傾向が強まったのかも知れない。

「脱力」が思うように出来ない。脱力したつもりで弾くと、弱々しい音しか出ない。これは一大事だ。もう一度「ラクに弾く」感覚を取り戻さないとタイヘンなことになりそうだ。

あと5週間ちょっと。いろいろと試行錯誤しながら頑張るしかない!♪







日本クラシック界の「ドメスティックな専門家」vs「音楽ファン」?

たまたま見つけた次の記事がちょっと面白かった。

✏️「フジ子・ヘミング現象」の何が問題なのか?

2011年の古い記事だし、フジ子・ヘミングにはまったく興味がないし、全くの偶然で見つけたのだが…。面白いと思ったのは日本クラシック界における「ドメスティックな専門家」vs「音楽ファン」という対立構造の話。

この記事で言う「ドメスティックな専門家」というのは「国内演奏家+音楽教育者+音大生」で、「音楽ファン」というのは、国内の演奏家には見向きもせず「ベルリン・フィルやメットオペラの来日公演に一枚3万円とか6万円といったカネをはたく音楽ファン」のこと。

この両者は「犬猿の仲」らしいのだが、この記事によると「フジ子・ヘミング現象」についてだけは、この両者の意見が「全否定」ということで一致している、とのこと。

で、その理由について、ピアノ演奏のスタイルの話など色々書いてあるのだが、それもまぁ、どうでもいい話である…。


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面白いと思ったのは、私が日本のクラシック音楽界に対して何となく感じている不満を、「ドメスティックな専門家」と「音楽ファン」という2つの言葉でくっきりと切り出してくれたところである。

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定年退職後、ピアノを独学で始めて、いろんな曲をいろんなピアニストで聴いた。「お気に入り」ピアニストを探すこともやってみた。そして、ピアノ音楽のことを理解するため、練習方法のヒントを得るため、いろんな本やネットの情報を読み漁った。

そうした中で、「日本のクラシック音楽界」にはあまり期待できないと思うようになってきた。残念なことではあるが…。

ピアノコンクールで日本人を応援しようと思っていても、なかなか「お気に入り」のピアニストには遭遇しない。プロの日本人ピアニストを探してみても、ガッカリさせられることが多い。ピアノ奏法に関する本も、本格的なものはほとんど海外の本だ。

そういう状況に対して、「ドメスティックな専門家」という言葉が妙に「腑に落ちた」のである。日本国内だけの狭い世界で「活躍」している「専門家」たち…。世界に通用するレベルには、なかなか…。

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一方、コンサート情報を探したり、クラシック音楽を聴くヨーロッパ旅行(パッケージ・ツアー)を探したりしても、そのほとんどがオーケストラやオペラで、しかも「定番」プログラムが圧倒的に多い。

「3万円とか6万円」のチケットを買って「古典芸能」のような型にはまった巨匠や有名オーケストラの演奏を楽しむ「音楽ファン」(上記記事の定義)の存在というのが、これもまた「そうなんだよな〜」と納得してしまったわけだ。

ピアノ音楽ファンとしてグチを言わせてもらうと、ソコロフのピアノ・リサイタルを楽しむパッケージ・ツアーなどはないし、来日する海外ピアニストは限られている。日本にはまともなピアノ・フェスティバルさえない。

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ところで、上の記事を読んでいて、もう一つ「フジ子・ヘミングのファン」的なグループもあるんだろうと思ったのだが、これはどういう人たちなのかよく分からない。日本人の好きな「物語性」とか「浪花節」とかいうキーワードが含まれている気はするのだが…。

それと、もう一つ気になったこと。「ドメスティックな専門家」や「音楽ファン」でもなく、ましてや「フジ子・ヘミングのファン」などではない私は、どんなカテゴリに属するのだろうか?

一応「クラシックピアノ音楽ファン」のつもりなのだが、もしかすると「日本のクラシック音楽界」(ファンや生徒も含む広義の…)にさえ属さない「門外漢」なのか…(^^;)。







今年のクライバーン・コンクールは変わった?…らしい

もうすぐヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールが始まるが、今年は前回までと色々変わっているらしい。…ということを Dallas News の記事(↓)で知った。

✏️Here's what's new at the Cliburn Piano Competition — and what it means
(クライバーン・ピアノコンクールはここが変わった…その意味するものは…)

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タイトル写真が面白いので引用させて戴いた。小さい写真で構成されているが、左上にクライバーン本人らしい写真も入っている。以下、何が変わったのか簡単に抄訳(意訳)してみる…。

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まず、ラウンドが1つ増えて4ラウンドに再構成されている。

Preliminary Round (May 25-28)

45分間のリサイタル(マルカンドレ・アムランによる新曲を含む)によって20人が次のラウンドに進む。前回までの第1ラウンドには2回のリサイタルが含まれていた。

Quarterfinal Round (May 29 and 30)

45分間のリサイタルによって12人が次のラウンドに進む。新規に追加されたラウンドという説明があるが、以前の第1ラウンドが2つに分けられて、後半のこのラウンドが全員でなく20人に絞られた、というふうにも見える。

Semifinal Round (June 1-5)

1時間のリサイタルとモーツァルトのピアノ協奏曲(Nicholas McGegan指揮、Fort Worth Symphony Orchestra)によって6人のファイナリストが選ばれる。これまでは、リサイタルとピアノ五重奏であった。

Final Round (June 7-10)

ピアノ五重奏(Brentano String Quartet)と大規模コンチェルト(Leonard Slatkin指揮、Fort Worth Symphony Orchestra)によって最終結果が決まる。以前は、ファイナルに2つのコンチェルトが含まれていた。(さらにソロリサイタルがあったことも…)


これまではセミファイナルでピアノ五重奏、ファイナルでピアノ協奏曲2曲であったのが、セミファイナルでモーツァルトの協奏曲、ファイナルでピアノ五重奏と大きなピアノ協奏曲、というふうに構成が変わった。

この変更が何を意味するのかいまひとつよく分からないが、この記事を書いた Scott Cantrell 氏は「評価されるのは "musical eloquence" というよりは "survival" だ」と言っている。コンペチタにとってより過酷なレースになったということか…?

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審査員のメンバーも刷新されたようだ。これまでは毎回同じような顔ぶれだったらしいが、今回、2013年(前回)にも審査員だったのはピアニストの Joseph Kalichstein ただ一人。審査委員長(chair)も、長年務めた John Giordano から Leonard Slatkin に交代した。

ピアニストがたくさん名を連ねているのも特徴の一つかも知れない。

課題曲を提供する Marc-André Hamelin、上記の Joseph Kalichstein 以外に、Arnaldo Cohen、Anne-Marie McDermott、 Alexander Toradze(1977年2位)、Christopher Elton(Royal Academy of Music in London の教授)、児玉麻里、、Erik T. Tawaststjerna がいる。

ちなみに、過去に何度も審査員を務めた Yoheved Kaplinsky(ジュリアード音楽院の教授)の名前が見当たらないが、その弟子の多くが入賞してきた「疑惑」?と関係しているのかもしれない(というようなことが書いてある…)。

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それから外部向けの発信(ストリーム配信など)が強化されている。これまでは公式サイトで配信していたようだが、今回は Medici.tv が追加されて、配信範囲がアジアまで拡張されたとのこと。(前回は日本から見れなかった…ってこと??)

ファイナル最終日を全米の映画館でライブ中継する(→ねもねも舎参考記事)というのも初めて。

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入賞者への副賞も増えている。3年間のマネジメントとコンサートに加えて、ユニバーサル(Universal Music Group)から上位3人のCDが出される。また、優勝者には、米国内のコンサートだけでなく、ヨーロッパとアジアでのコンサートも booking されるそうだ。

"booking" って、コンサートをアレンジしてくれるという「ご褒美」なんだろうけど、過酷なコンクールが終わってヤレヤレ感もあると思われる入賞者にとっては「罰ゲーム」みたいなニュアンスも感じてしまう…(^^;)。

まぁ、世に出る絶好の「チャンス」なんだから、そんなこと言ってられないとは思うが…。一流のピアニストは体力・忍耐力も必要なんだろう…きっと…。

とはいえ、ヴァン・クライバーン本人もチャイコン優勝で凱旋したアメリカで引っ張りだこになり、そのためかどうか分からないが、その後のキャリアも順風満帆ではなかったような…。

で、この記事にも "Cliburn curse"(クライバーンの呪い)という言葉が出ていて、ラドゥ・ルプー以外に成功したピアニストはこのコンクールから出ていないとか、不幸な目にあったピアニストがいる…みたいな話が書いてある。興味のある方は本文(英語)を…(^^;)。

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まぁ、一人のピアノファンとしては、そんなことは気にせずに、気が向いたら Medici.tv を楽しむとしよう ♪ 「掘り出し物」的なピアニストとの遭遇もあるかもしれない…。

それに、日本人も一人(深見 まどか)出るし、直前で「追加」になったロシアの Nikita Abrosimov ってどんな人?というのも気になるし…。


【関連記事】

《クライバーン・コンクール、直前のコンテスタント入れ替え!?》
《ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール出場者30人:日本人は深見さん一人…》
《ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールについて(読書メモ)》







クライバーン・コンクール、直前のコンテスタント入れ替え!?

今朝、ニュースをチェックしていたら、下記のような記事を発見。

来週(5月26日)から始まるヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールのコンテスタントが入れ替わったという内容だ。

✏️Cliburn adds a new contestant

タイトルは「クライバーン(コンクール)が新しいコンテスタントを追加」となっているが、中身を見ると、Mehdi Ghazi(Algeria and Canada)が出場しないことになって、Nikita Abrosimov(28歳、Russia、下記写真:公式サイトから)が「追加」された、となっているので、事実上の入れ替えに見える。

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他の国際ピアノコンクールでは、事前審査でコンテスタントが確定したあとに誰かが辞退しても、その代わりに他の人が追加されるようなことはなかったと思う。繰り上げ当選みたいな…? しかも直前に…。

理由は不明。"No reason given."と書いてある。謎だ…。