シューマンのピアノ作品:二つの時代


シューマンの「森の情景」(から2〜3曲)を練習しているので、これを機に少しシューマンを勉強しようと思っている。

とりあえず「シューマン 全ピアノ作品の研究(下)」(西原稔 著、音楽之友社、2013年)という本を借りてきて、関係ありそうなところを拾い読みした。以下、そのメモ書き。

ちなみにこの本は、シューマンの全ピアノ作品51曲について、成立過程・構成・作曲手法・他作品との関連、稿や版、評価などを多くの譜例付きで解説してあって、けっこう読み応えがあり面白い。理解できるかどうかはさておき、通読してみようと思っている。(上巻も?)

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今回は、シューマンのピアノ作品における「森の情景」の位置付けを理解するために、シューマンの生涯とピアノ作品における「二つの時代」について整理してみる。


シューマンの年代区分

シューマンの年表はほぼ10年・5年単位で分りやすい。

1810年生まれ、1830年20歳で音楽家になることを決意、前後してクララと知り合う。「アベッグ変奏曲」Op.1は1830年の作品。

1830年からの10年間(ライプツィヒ時代)は愛と苦悩の時期、ほとんどの作品が「フロレスタンとオイゼビウス」およびクララと関係していると言っても過言ではない。1840年に30歳でクララと結婚。

新婚時代、結婚の喜びを歌曲に託した1840年の「歌曲の年」、続く1841年「管弦楽の年」、1842年「室内楽曲の年」と充実した時期を過ごす。が、1842年ごろから心身の疲労で病気がちになる。

そして、1844年に転機を迎える。クララと一緒にロシアに演奏旅行に行くのだが、シューマンよりクララの方が人気があったことに気落ちし…。また、希望していたゲヴァントハウス管弦楽団の常任指揮者になれなかったことの失意も重なり、結果として、転地療養のような形でライプツィヒからドレスデンへ移る。

1845年からは、古典対位法とバッハの研究に改めて取り組み、1830年代とはまったく異なった音楽を作り出す。

1850年、40歳でデュッセルドルフ市音楽監督の職を得て、デュッセルドルフへ移る。その後、1854年に投身自殺を図り、療養所に入り、1856年、46歳で亡くなる。


ピアノ作品については、1830年代まで(1840年のクララとの結婚まで)の時代と、1845年以降とに分けて考えることができる。



1830年代までのピアノ作品

1830年代まで(クララと結婚する1840年まで)は、

「シューマンの分身であるフロレスタンとオイゼビウスがクララへの想いを込めて作曲した《ダヴィッド同盟舞曲集》」が中心にあり、

「《スケルツォ、ジーグ、ロマンスとフゲッタ》や《ウィーンの謝肉祭の騒ぎ》で…ピアノ作品の創作も一時代を終える」ことになる。


とくに、1837年〜1838年頃は充実した作品群がある。

1837年、クララとひそかに婚約し、父親ヴィークに拒絶された年の主な作品。

ダヴィッド同盟舞曲集 Op.6
幻想小曲集 Op.12
交響的練習曲 Op.13

1838年、10月から半年ほどウィーンに滞在した頃の主な作品。

子供の情景 Op.15
クライスレリアーナ Op.16
幻想曲 Op.17
フモレスケ Op.20
8つのノヴェレッテ Op.21



1845年以降のピアノ作品

ドレスデンで、古典対位法とバッハの研究に改めて取り組み、1845年には、ペダル・フリューゲル(足鍵盤付きピアノ)のための作品「カノン形式によるペダルフリューゲルのための6つの練習曲」Op.56などを生み出す。

参考:《シューマン「ペダル・ピアノのための練習曲」の美しい変遷》

「これらの作品に流れる静寂な音の世界は、1830年代の爆発的なシューマンとはまったく異質である。…いわばシューマンの魂のモノローグを思わせる。」

シューマンにとっての新しいスタートとも言える。この時期のピアノ作品は次のように分類できる。

①古典対位法的な作品
②子供のための作品
③1830年代作品等の拾遺集
④その他

①は、最初にあげた Op.56 や「BACHの名前による6つのフーガ」Op.60 など。②はシューマンの子供たちのための作品群で「少年のためのアルバム」Op.68 などがある。

③は、主に1830年代の作品その他を集めた拾遺集で、「いろとりどりの小品」Op.99 など。④はその他の連作曲集などであり、ここに「森の情景」Op.82、「朝の歌」Op.133 などが含まれる。

「朝の歌」や「主題と変奏(精霊の変奏曲)」Anh.F 39 は、「…幻聴に悩まされながら、また同時に『精霊の声』に一心に耳を傾けて、天からの創造の啓示を必死に求めて作曲された作品」である(とのこと)。



そんな中で生み出された「森の情景」Op.82 について、もう少し詳しく見てみたい。次回に続く…。







5月連休の予定表:ラフォルジュルネとピアノコンクール


明日からゴールデンウィークである。今年もラフォルジュルネには2日ほど行くつもりにしている。ゲニューシャスくんとエマールさん

ところが、同じ時期に「エリザベート王妃国際音楽コンクール」と「グランド・ピアノ・コンペティション」(のマツーエフの演奏)があるので、全体の予定を整理しようと思って、スケジュール表を作ってみた。


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作ってみた結果、エリザベート王妃国際音楽コンクールは2日〜7日に行われる第1ラウンドはネット配信がないので、とりあえず関係なし。グランド・ピアノ・コンペティションは、オープニングのマツーエフの演奏は聴けそうなものの、表彰式はラフォルジュルネのエマールさんとぶつかっているので無理。

マスタークラスは予定どおり、フランク・ブラレイさんになりそう。5日のアンヌ・ケフェレックさんの特別編も気が向いたら行ってみようかな…。

ということで、あまり心配するほどのことではなかった…(^^;)。まぁ、せっかく作ったのでご参考まで…。

そういえば、エマールさんの「鳥のカタログ」パート1、2、3それぞれの演奏曲名が入っていた。私が聴くのは第3巻・4巻あたりの曲らしい。

LFJ:ラフォルジュルネ(mc はマスタークラス)
QEIMC:エリザベート王妃国際音楽コンクール
GPC:グランド・ピアノ・コンペティション


時間イベント内容
4月30日(土)
14:00-GPC
オープニング
デニス・マツーエフ
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲 第2番
5月1日(日)
-GPC第1ラウンド:ネット配信なし
5月2日(月)
-QEIMCエリザベート王妃国際音楽コンクール
第1ラウンド:5/2〜5/7:ネット配信なし
5月3日(火)
12:00-
15:00
GPC第2ラウンド①
14:30-LFJ mcフランク・ブラレイ @G402(ナイル)
16:30-LFJ mc シャニ・ディリュカ @G402(ナイル)
5月4日(水)
12:00-
15:00
GPC第2ラウンド②
14:00-
14:45
LFJ 233
ゲニューシャス
ホールB5(ドナウ)
シューマン:森の情景 op.82、ショパン:《練習曲集 op.10》《練習曲集 op.25》より、グリーグ:森の静けさ(《抒情小曲集》第10集 op.71から)
16:30-LFJ mcフランク・ブラレイ @G402(ナイル)
5月5日(木)
11:45-
12:45
LFJ 342
エマール
ホールC(モルダウ)
メシアン:鳥のカタログ ~パート3~
もりふくろう(《第3巻》から)、もりひばり(《第3巻》から)、ヨーロッパよしきり(《第4巻》から)
12:30-LFJ mcシャニ・ディリュカ @G402(ナイル)
13:00-GPC
表彰式
デニス・マツーエフ
ガーシュイン:ラプソディー・イン・ブルー
14:30-LFJ mc特別編アンヌ・ケフェレック「アーティストが語るナチュール」、聞き手:高坂はる香 @G402(ナイル)
18:30-LFJ mcジャン=クロード・ペヌティエ @G402(ナイル)








グランド・ピアノ・コンペティション!?


少し前(4/19)のねもねも舎の記事で、デニス・マツーエフが始めた「グランド・ピアノ・コンペティション」の話題が出ていた。2月に、同じく下記の記事で「怪しい!」と出ていたコンクールのサイトが綺麗になった、という話だ。

これは・・・むちゃくちゃ怪しいコンクールが登場!なおチェアマンはデニス・マツーエフ

綺麗になった公式サイトはこちら


the I International Competition for Young Pianists
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DENIS MATSUEV Artistic director of the Competition



個人的には “Grand Piano Competition” という名前も大げさで「怪しい」と思う。「グランドピアノのコンペティション」じゃなくて、「壮大な?ピアノコンペティション」ということなんだろうが…。



それはさておき、このコンクール、対象年齢は16歳ということで「若い才能を見出す」ためのものらしい。今回の最年少者は11歳。

スケジュールを見ると、こんな感じ(↓)になっているが、5月1日の第1ラウンド(ラジオ放送のみ)以外は、Medici.tv でストリーミング配信されるようだ。

4月30日 オープニングセレモニー 20:00-(日本 14:00-)
5月1日 第1ラウンド
5月3/4日 第2ラウンド 18:00-21:00(日本 12:00-15:00)
5月5日 表彰式 19:00-(日本 13:00-)

世界の神童たちの演奏を聴いてみたい気もしないでもないが、どちらかというと、オープニングと表彰式のマツーエフの演奏の方に興味がある。

4月30日のオープニングでの演奏(↓)は、プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番、指揮はヴァレリー・ゲルギエフ。表彰式は、ガーシュインのラプソディー・イン・ブルー。

State Academic Symphony Orchestra "Evgeny Svetlanov"
Soloist – Denis Matsuev. Conductor – Valery Gergiev
P. Tchaikovsky. Romeo and Juliet, Fantasy-Overture
S. Prokofiev, Concerto No. 2 for Piano and Orchestra



で、参加者は107人の応募者から選ばれた15人の子どもたち。その中に、奥井 紫麻(しお)ちゃんという日本人が1人いる。しかも最年少の11歳(もう一人ロシアの女の子が11歳)。

プロフィールや最近の様子はこちらのブログに詳しい。10度がつかめる手をしているらしい。

"Participants"(参加者)のページに15人の写真が載っているが、初々しいというか、みんなかわいい…♪

でも、よく考えると、小学6年生と高校1年生とが同じステージで競うって、運動会とかでは考えられないことだ…(^^;)。



第1ラウンドはソロ・リサイタルで、バロック〜古典派から1曲以上、ロマン派〜21世紀から1曲以上(自作も可)、19〜21世紀のロシア作品1曲。時間は20〜30分。

第2ラウンドは協奏曲で、全楽章、または第1楽章、または第2・3楽章を弾く。20分以内なら何でもいいようだ。

第1ラウンドでは選別せずに全員が両方のラウンドに出るというルールになっている。



連休中でもあり、ラフォルジュルネにも行かなくちゃならないので、まぁ、時間が合えば聴いてみるか、という感じかな…。 







アイスショーにあのピアニスト♪ブニアティシヴィリ!?


一昨日、TV番組表で「アイスレジェンド」というアイスショーを見つけた。真央ちゃんと大輔くんが出演するというので観ていたら、どこかで見たようなピアニストが生出演している。それがなんとカティア・ブニアティシヴィリ!

ブニアティシヴィリといえば、そのファッションでユジャ・ワンと人気を二分する?ピアニスト。(例えばこんな記事)というか、私自身は彼女の演奏は好みではないが、ひとかどのピアニストである。今年の2月に来日もしている。


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「アイスレジェンド」はスイス、ジュネーヴで4月22日に行われたアイスショーで、ステファン・ランビエールがプロデュースしたものらしい。ちなみに、チケット代は4,440円〜34,000円くらい。詳しくは "Ice Legends" 公式サイト(上の写真も公式サイトから借用…)。



「レジェンド」なので、懐かしいスケーターが登場する。ステファン・ランビエール、カロリーナ・コストナー、サラ・マイヤー、ブライアン・ジュベールなど。そこに、真央ちゃんと大輔くんも参加。

コストナーの滑りは相変わらず美しい。サラ・マイヤーも少しおばさんに近づいた(失礼…)ようだが、昔の可愛らしい面影も残っている。



で、ブニアティシヴィリである。第1部最後の「特別プログラム」で登場。スケートリンクのそばの寒い場所なのに、いつものようなドレス姿で…。寒くないのだろうか? 指も冷たくなりそう…。

曲目は、ショパンのバラード第1番、ドビュッシーの「月の光」、そしてなんとラヴェルの「ラ・ヴァルス」という3曲。バラードは「羽生くん(の短縮)版」ではなく完全版。

この3曲を連続で演奏する中で、スケーターたちがひとつの物語を演じるという趣向だ。ピアノはまずまずだったが、なかなか面白かった。「月の光」に乗せて舞うコストナーの滑りが実によかった。真央ちゃんもそれなりに…。

羽生くんの演技を見るたびに、切り貼り短縮版バラードにお怒りだったうちのカミさんも「やっぱりバラードはこうじゃなくっちゃ ♪」とご満悦の様子。

それにしても、このアイスショー、とくに「特別プログラム」はなかなかよく出来ていると思った。ほとんどのアイスショーはスケーターが個別にエキジビションのプログラムを滑って、あとはとってつけたような全員滑走みたいなものが多いのだが…。プロデューサーのランビエールがかなり頑張ったんだろう。



BS1での再放送があるようなので、興味のある方はどうぞ。

ウインタースポーツ放送予定
4月29日(金) 午後4:00-午後5:50「アイス レジェンド2016」







近況:シューマン「森の情景」譜読み開始


ここ数日(4/21〜)、新しい曲の譜読みを始めている。シューマンの「森の情景」から第3曲「孤独な花」、第6曲「宿屋」、第1曲「入り口」の順にやるつもりにしている。下記は第1曲の冒頭部分。


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進み具合としては、とりあえず「孤独の花」の指使いをほぼ決めたくらいのところ。何カ所か不確定のところはあるが、それはもう少し弾いてみてから決めようと思っている。昨日から「宿屋」の指使いを探り始めている。

まだ、どのあたりが難しいのか分かっていないが、第一印象としては、思ったより指使いが難しいというか、自然な形で弾けない箇所が多いような気がしている。左手の指が届かず、右手でとるしかないようなところもある。

ペダルを使う(ペダルでごまかす?)のだろうかとも思ったが、ペダルはけっこう厳密に指定してあるようなので、たぶんそうじゃなさそうだ。もう少し研究?が必要だ。



譜読みしていて、以前から気にしている私の欠点のひとつがまた浮上してきた。それは、スタカートが苦手なことと、それと関係していることとして、キー離れが悪いこと。弾いたあとに、指がその場に居続けようとする傾向があるのだ。

そして、その理由の一つが分かったような気がした。それは、音が途切れることに対する恐怖心(とまでは言わないが、嫌がる気持ち)である。あるいは、音を切りながら音楽(メロディーなど)を形作っていくことへの苦手意識かもしれない。

第3曲の左手伴奏がまさにスタカート。ペダルを使わずに弾きながら譜読みをしていたのだが、何というかまったく間が持たない感じ…。最初は、八分音符のところを1拍分押さえたり、思わずペダルを踏んだりしていた…。

途中で、キー離れが悪いクセを思い出して、意識してスタカートで弾くようにしたのだが、いまだに慣れない…。もう少し続けて、耳を慣らす必要があるのかもしれない。



ところで、今回の練習の目標はあまり決めずに始めてしまったのだが、何となく考えていたことの一つは「シューマンに対する苦手意識を減らすこと」。できれば、その音楽の良さを少しは理解できるようになりたいと思ったのだ。

なので、少しシューマンのピアノ曲を聴いたりもしている。ピアノソナタは3曲とも聴いたが、まだお気に入りの演奏(ピアニスト)にはお目(耳)にかかっていない。

それと、ちょっと難しそうなのだが、「シューマン 全ピアノ作品の研究 下」という本を図書館で借りてきた。上下巻あって、「森の情景」が載っている下巻を借りた、ということ。



まだ、ちゃんと読めてはいないが、こういうアナリーゼ的な本もある程度は抵抗なく読めるようになってきた(気がする)。「作曲遊び」が少しは役に立っているのではないだろうか…。

少し理解できるようになったら、改めてご紹介したいと思っている。



とはいえ、まずは譜読みを早く終えて、少しはまともに弾けるようにならなくては。では…。